お昼休みがあっという間に終わってしまい、塩尾瀬と一緒に玄関に向かう。茉莉はいつも先に戻ってしまうので、ちょっとだけ寂しい。
 靴を履き替えようとして―、待ち伏せていた友梨に体が硬直した。

「浅咲行こうぜ」
「う、うん…」

 戸惑いながら靴を履き替えると、友梨の前を通り過ぎる前に腕を掴まれた。隣にいた塩尾瀬も同じように立ち止まる。

 周はあれから一度も学校に来ていない。
 いつも友梨の隣にいるのが当たり前だったから、周の姿が見えないだけで違和感を覚える。

「私も園芸部入るから」
「え」

 突き出された紙には退部届の文字が書かれていて、友梨が正式に野球部のマネージャーを辞めたことを意味していた。