なんてことのないように言う塩尾瀬に胸を撫で下ろした。ちょっとだけ空気が重くなりそうだったから怖かったのだ。
「でもうちは小学生のときに思ってたんだけど。周静は一花と付き合うって思ってたんだよ」
「あたしと? そんなのありえないよ。茉莉だって、その…教室で前に言ってたじゃん。友梨たちを邪魔しないであげてって」
「あれは友梨乃に頼まれたのよ。一花のこと遠ざけておいてって」
だって、周は友梨が好きだと思ってた。友梨の隣にいるのが当たり前だって…。
―だから、周があたしのことを好きって言うのも、大事なおもちゃを取られた感覚と同じだからで…。
「まあ、そう思うのも仕方ないよ。だって友梨乃が事あるごとに周静は私と結婚するって言ってたし」
そう、友梨は確かに言っていた。そのとき周はどんな顔をしていただろう…?
「ずっとあのふたりに振り回される一花が、みんな可哀想だと思ってたよ」