茉莉の声にちっとも笑いが含まれていなかった。あたしの知らない感情を引きずり出そうとしているみたいだ。
 周はあたしに依存するようなひとじゃない…。
 ただあたしをひとりにせず一緒にいさせてくれた幼なじみだ。いまでも大切な……。

―本当に? 周に、突然キスされて突き放したのに?

「周静がずっと傍にいるのが当たり前って、そうすり込ませているように見えた。トイレ以外、本当に一花と友梨乃と周静は一緒だったから。異常だよ」
「…異常なのはあたしのほうだし」
「なんで?」

 顔をぐっと近付けてきた茉莉に驚きつつも、だって…と情けない声が出てしまう。

「何にもできない一花、っていうのがあだ名だったじゃん」
「何にもできないヤツが写真撮って賞取れるかよ」
「う…、そう、だよね」
「自信持てよ」