―俺、いつも一花の明るいところに元気貰ってるんだ。

 中学生のときに周が言った言葉を思い出し、目頭が熱くなる。

「…最近、友梨乃が何も言わなくなったし、クラスのひとも話しかけてくれるようになって本当に良かった。これからさ、小学生のときみたいに戻っていくと思うから大丈夫よ」
「戻らないよ。いじめた記憶はずっと残ってる」
「何でそんな嫌味なの、あんた」
「俺は元からこういう性格だぜ」

 みんなの顔を見るたびに目を逸らしてしまっても、誰も怒らない。授業で指名されて言葉が詰まると、さりげなく席が近いひとが答えを教えてくれる。
 そんな日常が訪れても、あたしの心は晴れないままだ。

「それでエミと…、エミってわかる? 一花もよく話してたでしょ」
「茉莉と一緒にいるひと?」
「そう、あの子も一花と仲直りしたいんだけどね。うちよりびびりだから…」