茉莉の言葉に目を丸くする。小学生のときにそんな悪口みたいなことを言われていただろうか。

「ほんっと、むかしから周静と友梨乃が大好きだって言ってたけど、よくあんなふたりが好きなんて思えるなって不思議だったのよ。周りの子は周静のことが怖いって言ってたし」

 小学生のころのふたりは元気いっぱいで、いつもクラスの子に囲まれていた。
 読書感想文で賞を取った友梨、県内のマラソン大会で惜しくも二位だったけど小さなトロフィーを貰った周。
 ふたりの幼なじみでいられることが嬉しくって、ただ傍にいるだけで幸せだった。

「…周はたまに怖くても優しいから」
「その時点でお人よしバカで、天然で、良くも悪くも一途なのよ」
「悪口?」
「半分ね」

 半分は褒められているとわかって、ちょっとだけ口角が上がった。

「一花に笑顔が戻ってきて本当に嬉しい。うちさ、その笑顔にいつも元気貰ってたのよ」

 茉莉はポニーテールを揺らしながら笑って、開花しようと準備してる花を見つめた。