そのことを茉莉は裏庭でいつも謝ってくるけど、あたしはあまり気にしていないというのが本音だった。

「周静の休みについて何か知ってる? 風邪だって先生は言うけど」

 名前を聞くたびに、周の家でされたこと、交わした会話が蘇って震えそうになった。

「…どうだろ。あたしも何も聞いてないから」
「どうせずる休みだろ」

 かつて友梨に言われたことがあるあたしは口元を緩めた。

「浅咲、千日紅が枯れたら植えたい花とかあるか?」
「夏の花って何があるんだろう」
「有名なのはひまわりよね」

 茉莉の言葉に頷きつつ、まだ元気に咲き誇る千日紅を見つめた。

―この花が枯れるころには…もうあたしは……。