「全部言うことがストレス発散に繋がるなら聞くけど、そうじゃねーだろ。言いたくないことは言わなくていい。俺も言いたくないことはたくさんある」
「……そう」
それが塩尾瀬の優しさなんだろうか。全部を暴いて助ける優しさとは違って、塩尾瀬の優しさに触れると温かな気持ちが体中を包んでいく。
「そういえば花の写真の応募、ここに来る前にしてきた。結果は来年の春ごろだな」
「え、あの初めに撮った芽の写真にしたの?」
「そ、結構いい出来だぜ」
褒められたことが嬉しくてむず痒い気持ちになる。
「お前も九月にある写真のコンテスト、今年も応募しろよ」
「…よく知ってたね」
写真を撮ることは怖くないけど、応募するとなれば恐怖が蘇ってくる。
「転校してきたときに職員室前に飾ってある写真見て、担任にすぐ聞いたんだよ。そしたら九月にあるコンテストで入賞したやつだって、自慢げに話してたぜ」