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 春は繰り返し訪れ、私も歳を重ねてゆく。もう十七の歳。この国の女達は十八で結婚をする。

 私のような裕福な家庭で育った者の結婚相手はあらかじめ決められていた。私の相手は好きな人ではなく、まして人界の者でもない。なんと悪魔だった。正直、憂鬱だった。

底辺の悪魔が人界を荒らしに来ないよう、上位の悪魔が見張る。その見返りとして魔界の環境に耐えられる程の魔力がある女が人界からひとり選ばれ、地位の高い悪魔の元へ嫁ぐことが決定された。

 私にとっては生贄のようなもの。生贄は我が家から選ばれることになった。ふたりのお姉様は断り、私が嫁ぐことになった。生贄に決定されてから、もう八年が経つ。

私には拒否する権利はない。何故なら私は、お父様の前妻が亡くなった後に、お母様とこの家に来て、お父様やお姉様達とは血が繋がっていないから。お母様と私は、肩身狭い思いをして暮らしていた。

 それにお姉様達は街に敵が現れた時に役立つ、攻撃系の魔法を使えていた。街を守るための魔法が使えない私のような者は、家の地位や魔力はあるけれど、弱者としてみられて生きていくことになる。花魔法も攻撃は出来なくはないけれど、そんなことで花を使いたくない。お姉様達には馬鹿にされる日々。

唯一花魔法を褒めてくれたのは、お母様だけ。でも私は別に、弱者のままでもいい。