綾は目の前に瑶子がいることに驚き絶句していた。
「意外だね。藤田さんも『フォルテ』好きなんだ」
ほんのり品良く口角を開ける瑶子。
サラサラとしたロングヘアにセンター分けの長い前髪。
はっきりとした二重の大きい目と、目に影を作る程の長い睫毛。
綾とは違い、制服を着崩すようなことはしておらず、どこか大人びて見えた。
一方綾は童顔でショートヘア。
制服も琴乃達に合わせて着崩しており、派手である。
「うん、まあね」
綾はほんの少し気まずそうに瑶子から目を逸らした。
(でも……東雲さんもこういうライブとかに来るんだ。花音からの話を聞く限り、クラシック系の音楽にしか興味なさそうに見えたけど……)
綾はほんの少し瑶子に親近感を抱いた。
「藤田さんって結構派手なグループにいるし、こういう……マイナーなバンドには全然興味ないのかと思ってた」
意外そうに微笑む瑶子。
「そんなことないよ。私、『フォルテ』のことめちゃくちゃ好きだし。まあ、琴乃達にはそのこと言えてないけどさ……」
綾は前半瑶子の目を真っ直ぐ見て熱弁し、後半はやや目を逸らしながら苦笑した。
「そっか」
瑶子は柔らかく微笑んだ。
その笑みからは品の良さが感じられる。
「東雲さんこそ、こういうバンドの曲聴くんだね」
少し肩の力が抜けた綾は、正直に口にしてみる。
「うん。友達は『フォルテ』のことあまり知らないし、親にも理解してもらえないけれどね」
瑶子は残念そうに苦笑した。
その言葉はスッと綾の中に入ってきた。
「同じだ……」
気付けばポツリとそう呟いていた。
「え?」
瑶子はきょとんとしている。
「私もさ、琴乃達に『フォルテ』が好きなことはあんまり理解してもらえてなくてさ。まあ無理に押し付けるわけにもいかないし」
少し悲しげにハハッと笑う綾。
「理解してもらえないのって結構キツイよね」
瑶子の目も、どこか悲しげであった。
「うん。でも何か……東雲さんも同じように悩んでるんだって知ったら……何というか、どう表現したら良いか分からないけどさ、何か……安心した。私だけじゃないんだって思えて。『フォルテ』好きなことも含めてさ」
綾は柔らかく微笑んだ。
肩の力が抜けており、自然な笑みである。
「……そっか」
瑶子は目を丸くした後、ほんのりと表情を綻ばせた。
「あのさ東雲さん、もし良かったら連絡先交換しない?」
綾は遠慮がちに聞いてみた。
もし瑶子と連絡先を交換出来たら『フォルテ』の話が出来るかもしれない。
そんな期待を少ししたのである。
すると瑶子は快く頷いた。
「良いよ。私がバーコード出そうか?」
「あ、お願い。私読み取る」
綾はスマートフォンのメッセージアプリを開き、瑶子が出したバーコードを読み取った。
これで瑶子の連絡先を追加出来た。
「東雲さん、また『フォルテ』の話、して良いかな?」
「もちろん。大歓迎だよ」
瑶子は嬉しそうである。
その答えに綾はホッとした様子だ。
思いがけず瑶子との接点が出来る綾であった。
「意外だね。藤田さんも『フォルテ』好きなんだ」
ほんのり品良く口角を開ける瑶子。
サラサラとしたロングヘアにセンター分けの長い前髪。
はっきりとした二重の大きい目と、目に影を作る程の長い睫毛。
綾とは違い、制服を着崩すようなことはしておらず、どこか大人びて見えた。
一方綾は童顔でショートヘア。
制服も琴乃達に合わせて着崩しており、派手である。
「うん、まあね」
綾はほんの少し気まずそうに瑶子から目を逸らした。
(でも……東雲さんもこういうライブとかに来るんだ。花音からの話を聞く限り、クラシック系の音楽にしか興味なさそうに見えたけど……)
綾はほんの少し瑶子に親近感を抱いた。
「藤田さんって結構派手なグループにいるし、こういう……マイナーなバンドには全然興味ないのかと思ってた」
意外そうに微笑む瑶子。
「そんなことないよ。私、『フォルテ』のことめちゃくちゃ好きだし。まあ、琴乃達にはそのこと言えてないけどさ……」
綾は前半瑶子の目を真っ直ぐ見て熱弁し、後半はやや目を逸らしながら苦笑した。
「そっか」
瑶子は柔らかく微笑んだ。
その笑みからは品の良さが感じられる。
「東雲さんこそ、こういうバンドの曲聴くんだね」
少し肩の力が抜けた綾は、正直に口にしてみる。
「うん。友達は『フォルテ』のことあまり知らないし、親にも理解してもらえないけれどね」
瑶子は残念そうに苦笑した。
その言葉はスッと綾の中に入ってきた。
「同じだ……」
気付けばポツリとそう呟いていた。
「え?」
瑶子はきょとんとしている。
「私もさ、琴乃達に『フォルテ』が好きなことはあんまり理解してもらえてなくてさ。まあ無理に押し付けるわけにもいかないし」
少し悲しげにハハッと笑う綾。
「理解してもらえないのって結構キツイよね」
瑶子の目も、どこか悲しげであった。
「うん。でも何か……東雲さんも同じように悩んでるんだって知ったら……何というか、どう表現したら良いか分からないけどさ、何か……安心した。私だけじゃないんだって思えて。『フォルテ』好きなことも含めてさ」
綾は柔らかく微笑んだ。
肩の力が抜けており、自然な笑みである。
「……そっか」
瑶子は目を丸くした後、ほんのりと表情を綻ばせた。
「あのさ東雲さん、もし良かったら連絡先交換しない?」
綾は遠慮がちに聞いてみた。
もし瑶子と連絡先を交換出来たら『フォルテ』の話が出来るかもしれない。
そんな期待を少ししたのである。
すると瑶子は快く頷いた。
「良いよ。私がバーコード出そうか?」
「あ、お願い。私読み取る」
綾はスマートフォンのメッセージアプリを開き、瑶子が出したバーコードを読み取った。
これで瑶子の連絡先を追加出来た。
「東雲さん、また『フォルテ』の話、して良いかな?」
「もちろん。大歓迎だよ」
瑶子は嬉しそうである。
その答えに綾はホッとした様子だ。
思いがけず瑶子との接点が出来る綾であった。