様々な価値観の人間を一ヶ所に集めて教育する空間。それが高校。
当然彼らは似たような価値観の仲間とつるんでグループを形成していく。
「あのさ、昨日のドラマ見た!? 俳優のキョウくんめっちゃカッコよかったんだけど!」
「見た見た! あのバックハグのシーンヤバかった!」
「あれキョウくん派かタカくん派に分かれるよね!? 綾はどっち派!?」
「私は……やっぱキョウくんかな〜」
話を振られた綾は、当たり障りのない答えでその場をやり過ごす。
「だよね! やっぱりキョウくんが最高だよ!」
綾の答えにグループのリーダー格である琴乃が満足そうに笑う。
(俳優とかドラマとか……興味ないわけじゃないけど……)
綾はクラスの中でも派手な、いや、若干派手過ぎる女子四人グループに所属しているが、若干の居心地の悪さを感じていた。
高校一年の綾。中学時代も割と目立つグループにいたが、今のように派手なグループではなかった。
綾は会話に加わりながら、チラリとクラスを見渡す。
綾達と同じように目立つ男子グループ、清楚系グループ、オタク系グループ。
もう二学期に突入しているので、別のグループには入りにくかった。
(あ、新着情報だ)
さりげなくスマートフォンをチェックした綾。
SNSには綾が気に入っている『フォルテ』というバンドからライブの日程情報が更新されていた。
まだメジャーデビューしていないインディーズバンドである『フォルテ』。綾がこのバンドを知ったのは、高校入学準備の買い物に行っている途中の時。
何となく地下のライブハウスにぶらりと立ち寄った際に演奏していたのが『フォルテ』だった。
その時、綾は電撃が走ったような感覚になった。
『フォルテ』の曲が綾の中に響いたのだ。
そこから綾は『フォルテ』の大ファンになった。
地下のライブハウスで開催されるライブには毎回通い、自主制作CDまで買う程である。
綾のスマートフォンには『フォルテ』の自主制作CDの曲も入っている。
「でさー、主題歌を歌ってるこのグループ、ダンスやばいよ。見てみ」
リーダー格の琴乃が動画を見せてくる。
「あ! この子私の推しなんだけど!」
「え、マジ!? めっちゃビジュ最高じゃん!」
他の二人は動画を見てテンションが上がっている。
「ね、綾、この子めっちゃビジュ良いよね!?」
「確かに、カッコいいね。ダンスもキレキレだし。歌詞もいい感じだね」
綾はまた当たり障りのない答えでやり過ごす。
「やっぱ綾もこういうの好きだよね〜」
推しの姿にはしゃいでいた風香は満足そうに笑っていた。
(別に好きってわけじゃないけれど……)
綾は内心苦笑した。
(多分『フォルテ』のことは、この子達には理解されないだろうな……)
顔には出さず、心の中でため息をつく綾。
以前、『フォルテ』が好きだと言ったら琴乃達に「何それ? ウケる」と一掃されすぐに違う話に変わってしまった経験がある綾。
綾は今のグループで息苦しさを感じているた。しかし、このグループを抜けたら一人ぼっちになってしまうことは確実だ。
綾は自分を飲み込み、琴乃達に合わせる選択をするのであった。
当然彼らは似たような価値観の仲間とつるんでグループを形成していく。
「あのさ、昨日のドラマ見た!? 俳優のキョウくんめっちゃカッコよかったんだけど!」
「見た見た! あのバックハグのシーンヤバかった!」
「あれキョウくん派かタカくん派に分かれるよね!? 綾はどっち派!?」
「私は……やっぱキョウくんかな〜」
話を振られた綾は、当たり障りのない答えでその場をやり過ごす。
「だよね! やっぱりキョウくんが最高だよ!」
綾の答えにグループのリーダー格である琴乃が満足そうに笑う。
(俳優とかドラマとか……興味ないわけじゃないけど……)
綾はクラスの中でも派手な、いや、若干派手過ぎる女子四人グループに所属しているが、若干の居心地の悪さを感じていた。
高校一年の綾。中学時代も割と目立つグループにいたが、今のように派手なグループではなかった。
綾は会話に加わりながら、チラリとクラスを見渡す。
綾達と同じように目立つ男子グループ、清楚系グループ、オタク系グループ。
もう二学期に突入しているので、別のグループには入りにくかった。
(あ、新着情報だ)
さりげなくスマートフォンをチェックした綾。
SNSには綾が気に入っている『フォルテ』というバンドからライブの日程情報が更新されていた。
まだメジャーデビューしていないインディーズバンドである『フォルテ』。綾がこのバンドを知ったのは、高校入学準備の買い物に行っている途中の時。
何となく地下のライブハウスにぶらりと立ち寄った際に演奏していたのが『フォルテ』だった。
その時、綾は電撃が走ったような感覚になった。
『フォルテ』の曲が綾の中に響いたのだ。
そこから綾は『フォルテ』の大ファンになった。
地下のライブハウスで開催されるライブには毎回通い、自主制作CDまで買う程である。
綾のスマートフォンには『フォルテ』の自主制作CDの曲も入っている。
「でさー、主題歌を歌ってるこのグループ、ダンスやばいよ。見てみ」
リーダー格の琴乃が動画を見せてくる。
「あ! この子私の推しなんだけど!」
「え、マジ!? めっちゃビジュ最高じゃん!」
他の二人は動画を見てテンションが上がっている。
「ね、綾、この子めっちゃビジュ良いよね!?」
「確かに、カッコいいね。ダンスもキレキレだし。歌詞もいい感じだね」
綾はまた当たり障りのない答えでやり過ごす。
「やっぱ綾もこういうの好きだよね〜」
推しの姿にはしゃいでいた風香は満足そうに笑っていた。
(別に好きってわけじゃないけれど……)
綾は内心苦笑した。
(多分『フォルテ』のことは、この子達には理解されないだろうな……)
顔には出さず、心の中でため息をつく綾。
以前、『フォルテ』が好きだと言ったら琴乃達に「何それ? ウケる」と一掃されすぐに違う話に変わってしまった経験がある綾。
綾は今のグループで息苦しさを感じているた。しかし、このグループを抜けたら一人ぼっちになってしまうことは確実だ。
綾は自分を飲み込み、琴乃達に合わせる選択をするのであった。