地下のライブハウス。
 まだメジャーデビューしていないマイナーなインディーズバンド『フォルテ』のライブには、ライブハウスが半分埋まる程の客がいた。
 藤田綾(ふじたあや)は、彼らの曲を食い入るように聴き入っている。

 そしてライブが終わった後、『フォルテ』のメンバーが直接販売している自主制作CDを購入し、満足した気分で帰ろうとした時のこと。
「あれ? もしかして、藤田さん?」
「あ……」
 声の主を見て、綾は目を見開き絶句した。
東雲(しののめ)さん……!」
 高校で同じクラスのの東雲瑶子(ようこ)である。

 クラスであまり接点のない二人の交流は、ここから始まるのであった。