「ダメかな?」
「……いいわよ、特別に」

「光栄です、姫君」
 彼はキスを受けるために背をかがめた。

 私からするの!?
 エルシーは戸惑う。

 紫の瞳が挑発するように彼女を見つめる。
 エルシーは意を決して、彼の頬に手を添えた。

 背伸びをするようにして頬にキスをする。
 唇を離すと、苦笑する彼と目が合った。

「そうじゃなくて」
 彼はするっとエルシーを抱きしめる。

「私はこちらがいい」
 ローレンスは返事を待たず、唇を奪った。

 エルシーは驚き、だけど瞳を閉じた。
 満月に見守られ、二人は何度も唇を重ねた。