「マルクエン様!! 私も戦う!!」
セロラが飛び出してクラムに斬りかかるが、簡単にいなされ蹴り飛ばされた。
「雑魚は引っ込んでな!!」
「私は雑魚じゃない!!」
「セロラさん!! 後ろに居て下さい!!」
マルクエンはクラムと斬り合いながら言う。
「でも!!」
「危ないから!!」
マルクエンに強く言われ、悔しさを感じながらも大人しく従うセロラ。
地上ではマルクエンとクラムが剣をぶつけ合う。
「ほう、ちょっとは楽しめそうなぐらいにはなったか」
クラムはニヤリと笑ってマルクエンに言った。
目にも止まらぬ速さで攻防を繰り広げていたマルクエンだったが、咄嗟に身を引く。
次の瞬間、クラムに向かって特大の火の玉が降り注いだ。
クラムは躱そうとするが、炎の直撃を食らい、傷を負った。
「小賢しい、斬り合いの邪魔をするな!!!」
怒りを剥き出しにして上空のラミッタに怒鳴りつける。
「卑怯とは言わないでしょうね? これは戦いよ、何でもアリでしょ」
「ッチ、ミネス!! そいつの相手をちゃんとしておけ!!」
「あー、ごめんごめん」
そう言ってミネスはラミッタに向けて魔法の短剣を投げつけた。
十数本の短剣がラミッタを追尾してまわる。
ラミッタは高速で飛び回り、地面に急降下した。
激突する寸前の所で水平に飛び、曲がり切れなかった短剣は地面に突き刺さる。
「マーダージャグリング!!!」
次にミネスは雷を地上に何発も落とした。
「ぐっ!!」
マルクエンは直撃は避けたが、地面から伝う電流で感電する。
対策を施している装備でこれ程までなら、直撃したら命は無いなと妙に冷静に考えていた。
「ミネス!! そっちの女の相手をしろ!!」
「えー、ボク命令されるの嫌いなんですけどー」
そんな事を言うミネスを無視し、ラミッタはマルクエンと対峙しているクラムに斬りかかる。
各個撃破をしようとするマルクエンとラミッタだったが、それを不快そうにミネスは見た。
「命令も嫌だけど、無視はもっとムカつくかもー」
ミネスは氷の剣をマルクエン達に向かって飛ばす。
ラミッタは魔法反射で弾き、マルクエンは剣で粉々に砕いた。
その一瞬の隙を逃さず、クラムがマルクエンを袈裟斬りに斬ろうとする。
だが、それは罠だった。マルクエンは振り下ろされたそれを剣で受け止め、ラミッタの剣が背後からクラムを貫いた。
「がっ!!」
腹を串刺しにされ、クラムは力が抜ける。
重なり合う刃を弾き、マルクエンは渾身の一撃を叩き込んだ。
縦に分断されたクラムが血の代わりに切断面から黒い煙を吹き出して消える。
「あらら、やられちゃった」
ミネスはやれやれといったポーズを取って呆れて言う。
「ダメだよクラム。油断一秒怪我一生って言うじゃない? あ、もう聞こえていないかな?」
「仲間がやられたってのに随分と悠長だな」
マルクエンは剣を空飛ぶミネスに向けて言う。
「クラムは脳筋だったし、仕方ないかなー」
「次はあんたの番よ、覚悟しなさい」
「おぉ、こわいこわい。それじゃ逃げちゃおうかな?」
ミネスがジャグリングの玉をそこら中へ投げると、激しい音と共に閃光が視界を塞ぐ。
思わず眩しさで目を覆うマルクエン。
ラミッタは魔法でどうにかしているのか、平気そうだ。
逃げるミネスの後をついて行こうとするが、その速さに追いつけず、途中で諦めた。
「逃がしたわね……」
「あぁ、だが魔人は一人討伐できた」
魔人が去り、静けさを取り戻した村。
セロラはコラーの見舞いをしていたが、浮かない顔をしていた。
「セロラ、どうしたんだ?」
「私、もっと強くなりたい……」
「……。どうして?」
尋ねられると、セロラは耳をしゅんと垂れ下げたまま答える。
「強くないと生きていけない。それに、私、強くなかったら必要じゃない」
そう言って涙目になるセロラ。
「私が弱いせいでコラーを怪我させた」
「違う、これは俺のせいだ」
「だって……」
コラーは少し黙ってから、話し始める。
「俺も強くなりたい……。マルクエン様とラミッタ様を見て思ったんだ。誰かを、村の皆を、セロラも、守れるようになりたいって」
「私も?」
コラーは見つめられ、赤面して言う。
「あぁ、セロラは大事な仲間だからな!!」
そこまで言われ、セロラは色々な感情により、涙を抑えきれなくなった。
魔人襲撃からの翌日。昨日の英雄達は日が昇っても眠っている。
「おはようございます。マルクエン様」
宿屋の女将に部屋をノックされ、ようやく目を覚ました。
ラミッタも同じ様で、眠たげにあくびをしながら部屋から出てくる。
王都からの使者が戻るまで時間があるので、マルクエン達は村の復興を手伝うことにした。
「そんな、勇者様に仕事なんてさせられませんよ!!」
「いいえ、暇ですし、好きでやっていることなので」
マルクエンはコラーの言葉も気にせず、倒壊した建物の修理を手伝う。
空を飛べるラミッタは屋根へ荷物を運ぶのに大助かりで、マルクエンも信じられない重さの物を持てるので、皆が驚いていた。
「マルクエン様、本当にこんなお昼で良いんですか?」
「美味しそうじゃないですか! イタダキマス!」
昼になり、マルクエンは米と塩だけのシンプルなオニギリを美味しそうに食べる。
セロラが飛び出してクラムに斬りかかるが、簡単にいなされ蹴り飛ばされた。
「雑魚は引っ込んでな!!」
「私は雑魚じゃない!!」
「セロラさん!! 後ろに居て下さい!!」
マルクエンはクラムと斬り合いながら言う。
「でも!!」
「危ないから!!」
マルクエンに強く言われ、悔しさを感じながらも大人しく従うセロラ。
地上ではマルクエンとクラムが剣をぶつけ合う。
「ほう、ちょっとは楽しめそうなぐらいにはなったか」
クラムはニヤリと笑ってマルクエンに言った。
目にも止まらぬ速さで攻防を繰り広げていたマルクエンだったが、咄嗟に身を引く。
次の瞬間、クラムに向かって特大の火の玉が降り注いだ。
クラムは躱そうとするが、炎の直撃を食らい、傷を負った。
「小賢しい、斬り合いの邪魔をするな!!!」
怒りを剥き出しにして上空のラミッタに怒鳴りつける。
「卑怯とは言わないでしょうね? これは戦いよ、何でもアリでしょ」
「ッチ、ミネス!! そいつの相手をちゃんとしておけ!!」
「あー、ごめんごめん」
そう言ってミネスはラミッタに向けて魔法の短剣を投げつけた。
十数本の短剣がラミッタを追尾してまわる。
ラミッタは高速で飛び回り、地面に急降下した。
激突する寸前の所で水平に飛び、曲がり切れなかった短剣は地面に突き刺さる。
「マーダージャグリング!!!」
次にミネスは雷を地上に何発も落とした。
「ぐっ!!」
マルクエンは直撃は避けたが、地面から伝う電流で感電する。
対策を施している装備でこれ程までなら、直撃したら命は無いなと妙に冷静に考えていた。
「ミネス!! そっちの女の相手をしろ!!」
「えー、ボク命令されるの嫌いなんですけどー」
そんな事を言うミネスを無視し、ラミッタはマルクエンと対峙しているクラムに斬りかかる。
各個撃破をしようとするマルクエンとラミッタだったが、それを不快そうにミネスは見た。
「命令も嫌だけど、無視はもっとムカつくかもー」
ミネスは氷の剣をマルクエン達に向かって飛ばす。
ラミッタは魔法反射で弾き、マルクエンは剣で粉々に砕いた。
その一瞬の隙を逃さず、クラムがマルクエンを袈裟斬りに斬ろうとする。
だが、それは罠だった。マルクエンは振り下ろされたそれを剣で受け止め、ラミッタの剣が背後からクラムを貫いた。
「がっ!!」
腹を串刺しにされ、クラムは力が抜ける。
重なり合う刃を弾き、マルクエンは渾身の一撃を叩き込んだ。
縦に分断されたクラムが血の代わりに切断面から黒い煙を吹き出して消える。
「あらら、やられちゃった」
ミネスはやれやれといったポーズを取って呆れて言う。
「ダメだよクラム。油断一秒怪我一生って言うじゃない? あ、もう聞こえていないかな?」
「仲間がやられたってのに随分と悠長だな」
マルクエンは剣を空飛ぶミネスに向けて言う。
「クラムは脳筋だったし、仕方ないかなー」
「次はあんたの番よ、覚悟しなさい」
「おぉ、こわいこわい。それじゃ逃げちゃおうかな?」
ミネスがジャグリングの玉をそこら中へ投げると、激しい音と共に閃光が視界を塞ぐ。
思わず眩しさで目を覆うマルクエン。
ラミッタは魔法でどうにかしているのか、平気そうだ。
逃げるミネスの後をついて行こうとするが、その速さに追いつけず、途中で諦めた。
「逃がしたわね……」
「あぁ、だが魔人は一人討伐できた」
魔人が去り、静けさを取り戻した村。
セロラはコラーの見舞いをしていたが、浮かない顔をしていた。
「セロラ、どうしたんだ?」
「私、もっと強くなりたい……」
「……。どうして?」
尋ねられると、セロラは耳をしゅんと垂れ下げたまま答える。
「強くないと生きていけない。それに、私、強くなかったら必要じゃない」
そう言って涙目になるセロラ。
「私が弱いせいでコラーを怪我させた」
「違う、これは俺のせいだ」
「だって……」
コラーは少し黙ってから、話し始める。
「俺も強くなりたい……。マルクエン様とラミッタ様を見て思ったんだ。誰かを、村の皆を、セロラも、守れるようになりたいって」
「私も?」
コラーは見つめられ、赤面して言う。
「あぁ、セロラは大事な仲間だからな!!」
そこまで言われ、セロラは色々な感情により、涙を抑えきれなくなった。
魔人襲撃からの翌日。昨日の英雄達は日が昇っても眠っている。
「おはようございます。マルクエン様」
宿屋の女将に部屋をノックされ、ようやく目を覚ました。
ラミッタも同じ様で、眠たげにあくびをしながら部屋から出てくる。
王都からの使者が戻るまで時間があるので、マルクエン達は村の復興を手伝うことにした。
「そんな、勇者様に仕事なんてさせられませんよ!!」
「いいえ、暇ですし、好きでやっていることなので」
マルクエンはコラーの言葉も気にせず、倒壊した建物の修理を手伝う。
空を飛べるラミッタは屋根へ荷物を運ぶのに大助かりで、マルクエンも信じられない重さの物を持てるので、皆が驚いていた。
「マルクエン様、本当にこんなお昼で良いんですか?」
「美味しそうじゃないですか! イタダキマス!」
昼になり、マルクエンは米と塩だけのシンプルなオニギリを美味しそうに食べる。


