そして、三日目。ようやく王都アムールトが見えてきた。
「ようやく見えましたね」
ゴーダの言葉に馬車から身を乗り出してマルクエンは外を見る。
「おぉ……」
城壁で囲まれた街からは、所々高い建物が見える。ライオ以上に大きな街にマルクエンは思わず圧倒されて言葉が出なかった。
段々と王都へ近付くと、人通りも多くなってくる。
門の前では人々が身分証の提示を求められたり、荷物の検査等を受けていた。
しばらく待っていると、マルクエン達の番が来る。全員荷台から降り、マスカルが身分証を提示しながら言った。
「お疲れ様です」
衛兵は差し出された紙を見て目を丸くする。
「ゆ、勇者マスカル殿!? はっ、お努めお疲れ様です!!」
勇者マスカルの名を聞いて周りも少しざわめく。人々の注目も余所に、マスカル達は王都の中へと消えていった。
大きな建物が立ち並ぶが、その奥に一際立派な物がある。あれが城だろう。
「それでは、しばらくは街で泊まり、王との謁見の許可が降りたらお会いして頂きます」
「わかりました」
馬車を預け、マスカルの後を付いていくと、立派なホテルへ着いた。
「こんな立派な場所に……」
マルクエンが考えを漏らすと、マスカルは笑う。
「皆さんは私にしてみたら大事なお客人でもあります。安宿には泊めさせられませんよ」
「そんな、お気を使われずに……」
エントランスに入ると、魔石できらびやかに装飾され、幻想的な雰囲気すら漂っていた。
王都で治安面の心配は無いだろうとのことで、部屋は各自1部屋。
1人部屋のはずなのだが、そこらの宿の3人部屋よりも大きい部屋で、何だかラミッタはソワソワしていた。
野宿をしていた時の料理も美味かったが、夕食のビュッフェには流石に勝てず。数日ぶりに手の込んだ料理を口にできた。
部屋の備え付けシャワーで汗を流して、マルクエンはふわっふわのベッドに寝転ぶ。
あっという間に眠ってしまい、朝になった。
朝のルームサービスは断り、食堂で皆に挨拶をして一緒に食事を摂る。
「そうそう、マルクエンさん、ラミッタさん。ジャガの街から冒険者ギルドに届いたようですよー?」
アレラがニコニコと言うので、ついに来たかとマルクエンは思った。
「我々もギルドに顔を出したいので、向かいますか?」
マスカルが言ってくれたので、マルクエンは言葉に甘えることにする。
「えぇ、お願いします」
マスカルの案内でやって来たアムールトの冒険者ギルドは、本拠地だけあってどの街よりも立派な大きい5階建てであった。
扉は開けっ放しになっており、冒険者や依頼者がぞろぞろと出入りしている。
受付に近付くと、向こうから声を掛けてきた。
「お疲れ様です! 勇者マスカル様!!」
勇者の名を聞いて皆がざわつく。視線も気にせずにマスカルは要件を言った。
「どうも、ジャガの街から届けられた荷物を受け取りに来たのですが」
「はい、どうぞこちらに……」
とある部屋に案内され、そこでお茶を飲みながらマルクエン達は待つ。
扉がノックされ、どうぞと言うと、大きな木箱を数人がかりで運んできた。
「こちらでございます」
「だいぶ仰々しいわね」
マルクエンは大きな箱を、ラミッタはそれより二周り小さな箱を開ける。
「おぉ……」
マルクエンの目に映るのは黄金色に光り輝く鞘に入った大剣だ。
「何だか、趣味の悪い金持ちみたいな剣ね」
ラミッタの剣も黄金色に輝いている。それを見て片目を閉じてため息を付いた。
「そう言うな、金ピカでカッコいいぞ?」
「アンタ、本当に金色好きよね……」
「これが、伝説の龍を使った剣ですか……」
口数少ないゴーダも、剣士として興味津々だ。
「引き抜いても大丈夫でしょうか?」
「構いませんよ!」
ギルドのスタッフに許しを得てからマルクエンは抜剣した。
剣身も綺麗な黄金色であり、刃は鋭く光っている。ひと目見ただけで業物だと分かる代物だ。
「ギルド併設の闘技場が空いていますが、試し切りはいかがでしょう?」
「良いのですか!?」
マルクエンはまるで新しいおもちゃを手に入れた子供のように目を輝かせていた。
マルクエン達はギルドに併設されている闘技場まで足を運ぶ。
「試し切り用の丸太と精霊を召喚しておきます」
「ありがとうございます!」
少し噂が広まったのか、見物人がチラホラとやって来た。
マルクエンとラミッタの前には人が使役する魔物のような存在、精霊が現れる。
まず、マルクエンは剣を引き抜いて振り回してみた。
ずっしりと手応えのある重みに、マルクエンは胸の高鳴りが抑えきれない。
「それでは早速!!」
マルクエンは立てられている丸太を剣で袈裟斬りにした。
「!!」
斬った本人だけでなく、周りも驚いていた。
刃が丸太に当たったが、少しの減速もせずに通り抜けたのだ。
マルクエンも少しの抵抗も手に感じなかった。
数秒後に、丸太がずり落ちて、地面へ転がる。
「おぉ……」
思わずマルクエンはまじまじと剣を見つめ直していた。
次に剣を構えて精霊と対峙する。
「ようやく見えましたね」
ゴーダの言葉に馬車から身を乗り出してマルクエンは外を見る。
「おぉ……」
城壁で囲まれた街からは、所々高い建物が見える。ライオ以上に大きな街にマルクエンは思わず圧倒されて言葉が出なかった。
段々と王都へ近付くと、人通りも多くなってくる。
門の前では人々が身分証の提示を求められたり、荷物の検査等を受けていた。
しばらく待っていると、マルクエン達の番が来る。全員荷台から降り、マスカルが身分証を提示しながら言った。
「お疲れ様です」
衛兵は差し出された紙を見て目を丸くする。
「ゆ、勇者マスカル殿!? はっ、お努めお疲れ様です!!」
勇者マスカルの名を聞いて周りも少しざわめく。人々の注目も余所に、マスカル達は王都の中へと消えていった。
大きな建物が立ち並ぶが、その奥に一際立派な物がある。あれが城だろう。
「それでは、しばらくは街で泊まり、王との謁見の許可が降りたらお会いして頂きます」
「わかりました」
馬車を預け、マスカルの後を付いていくと、立派なホテルへ着いた。
「こんな立派な場所に……」
マルクエンが考えを漏らすと、マスカルは笑う。
「皆さんは私にしてみたら大事なお客人でもあります。安宿には泊めさせられませんよ」
「そんな、お気を使われずに……」
エントランスに入ると、魔石できらびやかに装飾され、幻想的な雰囲気すら漂っていた。
王都で治安面の心配は無いだろうとのことで、部屋は各自1部屋。
1人部屋のはずなのだが、そこらの宿の3人部屋よりも大きい部屋で、何だかラミッタはソワソワしていた。
野宿をしていた時の料理も美味かったが、夕食のビュッフェには流石に勝てず。数日ぶりに手の込んだ料理を口にできた。
部屋の備え付けシャワーで汗を流して、マルクエンはふわっふわのベッドに寝転ぶ。
あっという間に眠ってしまい、朝になった。
朝のルームサービスは断り、食堂で皆に挨拶をして一緒に食事を摂る。
「そうそう、マルクエンさん、ラミッタさん。ジャガの街から冒険者ギルドに届いたようですよー?」
アレラがニコニコと言うので、ついに来たかとマルクエンは思った。
「我々もギルドに顔を出したいので、向かいますか?」
マスカルが言ってくれたので、マルクエンは言葉に甘えることにする。
「えぇ、お願いします」
マスカルの案内でやって来たアムールトの冒険者ギルドは、本拠地だけあってどの街よりも立派な大きい5階建てであった。
扉は開けっ放しになっており、冒険者や依頼者がぞろぞろと出入りしている。
受付に近付くと、向こうから声を掛けてきた。
「お疲れ様です! 勇者マスカル様!!」
勇者の名を聞いて皆がざわつく。視線も気にせずにマスカルは要件を言った。
「どうも、ジャガの街から届けられた荷物を受け取りに来たのですが」
「はい、どうぞこちらに……」
とある部屋に案内され、そこでお茶を飲みながらマルクエン達は待つ。
扉がノックされ、どうぞと言うと、大きな木箱を数人がかりで運んできた。
「こちらでございます」
「だいぶ仰々しいわね」
マルクエンは大きな箱を、ラミッタはそれより二周り小さな箱を開ける。
「おぉ……」
マルクエンの目に映るのは黄金色に光り輝く鞘に入った大剣だ。
「何だか、趣味の悪い金持ちみたいな剣ね」
ラミッタの剣も黄金色に輝いている。それを見て片目を閉じてため息を付いた。
「そう言うな、金ピカでカッコいいぞ?」
「アンタ、本当に金色好きよね……」
「これが、伝説の龍を使った剣ですか……」
口数少ないゴーダも、剣士として興味津々だ。
「引き抜いても大丈夫でしょうか?」
「構いませんよ!」
ギルドのスタッフに許しを得てからマルクエンは抜剣した。
剣身も綺麗な黄金色であり、刃は鋭く光っている。ひと目見ただけで業物だと分かる代物だ。
「ギルド併設の闘技場が空いていますが、試し切りはいかがでしょう?」
「良いのですか!?」
マルクエンはまるで新しいおもちゃを手に入れた子供のように目を輝かせていた。
マルクエン達はギルドに併設されている闘技場まで足を運ぶ。
「試し切り用の丸太と精霊を召喚しておきます」
「ありがとうございます!」
少し噂が広まったのか、見物人がチラホラとやって来た。
マルクエンとラミッタの前には人が使役する魔物のような存在、精霊が現れる。
まず、マルクエンは剣を引き抜いて振り回してみた。
ずっしりと手応えのある重みに、マルクエンは胸の高鳴りが抑えきれない。
「それでは早速!!」
マルクエンは立てられている丸太を剣で袈裟斬りにした。
「!!」
斬った本人だけでなく、周りも驚いていた。
刃が丸太に当たったが、少しの減速もせずに通り抜けたのだ。
マルクエンも少しの抵抗も手に感じなかった。
数秒後に、丸太がずり落ちて、地面へ転がる。
「おぉ……」
思わずマルクエンはまじまじと剣を見つめ直していた。
次に剣を構えて精霊と対峙する。


