目隠しをしたシヘンはその場でぐるぐると回る。それが終わるとフラフラしながら立っていた。
「それで、スイカの場所を教えるんスよ! シヘンもっと右!」
「こ、こうかな?」
ケイの指示に従って右へと歩き出すシヘン。それを見てなるほど、こういう遊びかとマルクエンとラミッタは理解する。
「えーっとそれじゃ、あっ右行き過ぎ! もうちょっと左に!」
ラミッタの声を聞いて左に行くシヘン。
「シヘンさん、そのまま前ですよー」
「あー、待って待って、右に少しよ!!」
スイカを割るだけなのに中々盛り上がるなとマルクエンは思っていた。その時だった、シヘンがバランスを崩してよろめく。
「あ、危ないシヘンさん!!」
マルクエンは駆け寄ってヘッドスライディングをし、倒れそうになるシヘンを腕で支えようとするが。
「きゃっ!!」
倒れてしまったシヘンはマルクエンに覆いかぶさってしまう。顔に柔らかい物が当たるマルクエン。
シヘンが目隠しを外すと、自分の胸がマルクエンの顔を押しつぶしている事に気付く。
「あっ、す、すいませんマルクエンさん!!」
謝りながら急いで立ち上がる。お互いに顔が赤くなってしまった。
「何やってんのよ!! ド変態卑猥野郎!!」
「こ、これは不可抗力だ!!」
「そ、そうです! 悪いのは私で、マルクエンさんは助けてくれようとしただけで……」
そんな様子を苦笑いするケイ。
「まー、仕切り直しッスねー」
また同じ様に目隠しをするシヘン。ぐるぐると回り、みんなに指示を出される。
「右ーみーぎー!!」
「ちょい行き過ぎ!! 少し戻って!!」
「シヘンさんもう少し前です!!」
スイカの前へ来るとラミッタが大きく言う。
「そこよー!! そこで振り下ろして!!」
シヘンが持つ木の棒は一撃でスイカを仕留めた。目隠しを取って崩れたスイカを見る。
「あっ! やりましたー!」
ケイは拍手をしながら喜んで、マルクエン達もシヘンの元へとやって来た。
嬉しそうにはしゃぐシヘンを見てマルクエンも笑顔が溢れる。
「本当はスイカの種飛ばし競争とかやりたいんすけど、海を汚しちゃいけないッスからねー」
ケイはそんな事を言った。マルクエン達は海を眺めながらスイカを食べている。
「そういえば、スイカの種を食べるとお腹からスイカが生えてくる。なーんて言いますよねー」
シヘンの何気ない一言にマルクエンは驚いた。
「なっ、そうなんですか!? ど、どうしよう……。少し食べてしまったかもしれません!!」
慌てるマルクエンを見て、シヘンとケイは思わず吹き出す。
「マルクエンさんもそんな冗談を言うんですね」
そう言ってシヘンは笑っているが、オロオロとしているマルクエンを見て、もしかして、また冗談じゃない? と思う。
「そうよー宿敵。きっと明日の朝にはお腹で芽が出てスイカ男よー」
ラミッタの言葉にマルクエンは「そんな」とアワアワし始めた。
「あのー、マルクエンさん? スイカは生えてきませんから大丈夫ですよ」
「そ、そうですか!? 良かったー……」
安堵するマルクエンにラミッタは悪態をつく。
「これだからお坊ちゃまは常識が無くて困るわ」
そんなマルクエン達を見つめる影があった。
「今日こそ奴を私の下僕にしてやるわ……」
色白の肌と対照的な黒いビキニを着た黒魔術師のシチ・ヘプターだ。
「姉御!! やっちまいましょう!!」
手下の女は全身を覆う紺色の水着を着ている。
「えぇ、行くわよ」
シチ達はマルクエンの前に躍り出て高らかに笑う。
「ハーハハハ!! ここで会ったが百年目!! 今日こそ我が下僕になってもらうわよ!!」
「なっ、貴様はシチ・ヘプター!?」
マルクエンに名前を呼ばれて少し赤面するシチ。ラミッタは面倒くさそうに彼女達を見ていた。
「アンタ達懲りないわねー……」
はぁーっとため息をついて立ち上がり、足元の砂をラミッタは踏みしめる。
砂が触手のように素早く動いてシチ達をふっ飛ばした。
「いやー!!!」
そんな声を上げながら海へドボーンと落ちる。
「何だったんスかね、アレ……」
夕暮れになり、すっかり遊び疲れてしまったマルクエン達。海に太陽が沈んでいく様を眺めていた。
「太陽は海に入って行くって本当だったんですね」
綺麗な夕暮れを見てマルクエンはため息をつく。
「えぇ、何だかちょっぴり切ないですけど、綺麗ですよね」
「うーん、今日は存分に羽を伸ばせたわね」
ラミッタはそんな事を言っていた。
太陽が海の中へと隠れ、辺りは暗くなる。
着替えた一行は火を囲んでバーベキューの準備をしていた。
「いやー、海を見ながらのバーベキュー!! 最高ッスねー!!!」
月明かりが海を照らし、さざ波の音が聞こえる。マルクエン以外は酒を片手に持ち乾杯をした。
網の上には肉の他にもエビやイカ、貝類といった海の幸が並ぶ。
「マルクエンさん。この貝よく焼けてますよ」
シヘンが笑顔で言ってきたが、マルクエンは「えーっと」と言い頭をかく。
「申し訳無い。私はどうも貝類が苦手でして……」
「あれ、そうだったんですか?」
不思議そうにシヘンが言うと、マルクエンは答える。
「えぇ、何ていうか、見た目が得体の知れない物に見えて……。苦手なんです」
「好き嫌い言うんじゃないわよ宿敵」
ラミッタはマルクエンの取皿にホタテを入れた。
「食べてみなさい。飛ぶわよ」
「う、うむ……」
渋い顔をしながらマルクエンは恐る恐る口をつける。
「むっ!? 美味い!!」
貝の甘みと旨味を感じてマルクエンは驚いた顔をした。
「何でも食わず嫌いは良くないわよ、宿敵」
「それで、スイカの場所を教えるんスよ! シヘンもっと右!」
「こ、こうかな?」
ケイの指示に従って右へと歩き出すシヘン。それを見てなるほど、こういう遊びかとマルクエンとラミッタは理解する。
「えーっとそれじゃ、あっ右行き過ぎ! もうちょっと左に!」
ラミッタの声を聞いて左に行くシヘン。
「シヘンさん、そのまま前ですよー」
「あー、待って待って、右に少しよ!!」
スイカを割るだけなのに中々盛り上がるなとマルクエンは思っていた。その時だった、シヘンがバランスを崩してよろめく。
「あ、危ないシヘンさん!!」
マルクエンは駆け寄ってヘッドスライディングをし、倒れそうになるシヘンを腕で支えようとするが。
「きゃっ!!」
倒れてしまったシヘンはマルクエンに覆いかぶさってしまう。顔に柔らかい物が当たるマルクエン。
シヘンが目隠しを外すと、自分の胸がマルクエンの顔を押しつぶしている事に気付く。
「あっ、す、すいませんマルクエンさん!!」
謝りながら急いで立ち上がる。お互いに顔が赤くなってしまった。
「何やってんのよ!! ド変態卑猥野郎!!」
「こ、これは不可抗力だ!!」
「そ、そうです! 悪いのは私で、マルクエンさんは助けてくれようとしただけで……」
そんな様子を苦笑いするケイ。
「まー、仕切り直しッスねー」
また同じ様に目隠しをするシヘン。ぐるぐると回り、みんなに指示を出される。
「右ーみーぎー!!」
「ちょい行き過ぎ!! 少し戻って!!」
「シヘンさんもう少し前です!!」
スイカの前へ来るとラミッタが大きく言う。
「そこよー!! そこで振り下ろして!!」
シヘンが持つ木の棒は一撃でスイカを仕留めた。目隠しを取って崩れたスイカを見る。
「あっ! やりましたー!」
ケイは拍手をしながら喜んで、マルクエン達もシヘンの元へとやって来た。
嬉しそうにはしゃぐシヘンを見てマルクエンも笑顔が溢れる。
「本当はスイカの種飛ばし競争とかやりたいんすけど、海を汚しちゃいけないッスからねー」
ケイはそんな事を言った。マルクエン達は海を眺めながらスイカを食べている。
「そういえば、スイカの種を食べるとお腹からスイカが生えてくる。なーんて言いますよねー」
シヘンの何気ない一言にマルクエンは驚いた。
「なっ、そうなんですか!? ど、どうしよう……。少し食べてしまったかもしれません!!」
慌てるマルクエンを見て、シヘンとケイは思わず吹き出す。
「マルクエンさんもそんな冗談を言うんですね」
そう言ってシヘンは笑っているが、オロオロとしているマルクエンを見て、もしかして、また冗談じゃない? と思う。
「そうよー宿敵。きっと明日の朝にはお腹で芽が出てスイカ男よー」
ラミッタの言葉にマルクエンは「そんな」とアワアワし始めた。
「あのー、マルクエンさん? スイカは生えてきませんから大丈夫ですよ」
「そ、そうですか!? 良かったー……」
安堵するマルクエンにラミッタは悪態をつく。
「これだからお坊ちゃまは常識が無くて困るわ」
そんなマルクエン達を見つめる影があった。
「今日こそ奴を私の下僕にしてやるわ……」
色白の肌と対照的な黒いビキニを着た黒魔術師のシチ・ヘプターだ。
「姉御!! やっちまいましょう!!」
手下の女は全身を覆う紺色の水着を着ている。
「えぇ、行くわよ」
シチ達はマルクエンの前に躍り出て高らかに笑う。
「ハーハハハ!! ここで会ったが百年目!! 今日こそ我が下僕になってもらうわよ!!」
「なっ、貴様はシチ・ヘプター!?」
マルクエンに名前を呼ばれて少し赤面するシチ。ラミッタは面倒くさそうに彼女達を見ていた。
「アンタ達懲りないわねー……」
はぁーっとため息をついて立ち上がり、足元の砂をラミッタは踏みしめる。
砂が触手のように素早く動いてシチ達をふっ飛ばした。
「いやー!!!」
そんな声を上げながら海へドボーンと落ちる。
「何だったんスかね、アレ……」
夕暮れになり、すっかり遊び疲れてしまったマルクエン達。海に太陽が沈んでいく様を眺めていた。
「太陽は海に入って行くって本当だったんですね」
綺麗な夕暮れを見てマルクエンはため息をつく。
「えぇ、何だかちょっぴり切ないですけど、綺麗ですよね」
「うーん、今日は存分に羽を伸ばせたわね」
ラミッタはそんな事を言っていた。
太陽が海の中へと隠れ、辺りは暗くなる。
着替えた一行は火を囲んでバーベキューの準備をしていた。
「いやー、海を見ながらのバーベキュー!! 最高ッスねー!!!」
月明かりが海を照らし、さざ波の音が聞こえる。マルクエン以外は酒を片手に持ち乾杯をした。
網の上には肉の他にもエビやイカ、貝類といった海の幸が並ぶ。
「マルクエンさん。この貝よく焼けてますよ」
シヘンが笑顔で言ってきたが、マルクエンは「えーっと」と言い頭をかく。
「申し訳無い。私はどうも貝類が苦手でして……」
「あれ、そうだったんですか?」
不思議そうにシヘンが言うと、マルクエンは答える。
「えぇ、何ていうか、見た目が得体の知れない物に見えて……。苦手なんです」
「好き嫌い言うんじゃないわよ宿敵」
ラミッタはマルクエンの取皿にホタテを入れた。
「食べてみなさい。飛ぶわよ」
「う、うむ……」
渋い顔をしながらマルクエンは恐る恐る口をつける。
「むっ!? 美味い!!」
貝の甘みと旨味を感じてマルクエンは驚いた顔をした。
「何でも食わず嫌いは良くないわよ、宿敵」


