「やるわね!」
そう言いながらラミッタも剣で敵を切り裂き、地面を足でダンっと踏んで土の槍を出現させて貫く。
「ラミッタ様も流石は勇者様で!!」
彼女たち二人によって魔物はすぐさま殲滅された。
「あら、宿敵の出番は無くなっちゃったわね」
ラミッタに言われマルクエンは軽く笑いながら頭を掻く。
「それじゃ、中へ潜入といきやすか」
ジメジメとした遺跡の中に三人は消えゆく。リッチェが照明弾の魔法を使っているので周囲は明るい。
入口の狭さとは裏腹に、遺跡の中は広かった。足を踏み入れると、数十にも及ぶ魔物が一斉にこちらを振り返る。
先ほど出番の無かったマルクエンは、ここぞとばかりに前へ出て魔物達を薙ぎ払い切り捨てた。
後からラミッタとリッチェも加勢し、次々に魔物は煙へと変わる。
「あらかた倒し終えたか?」
マルクエンは言うと同時に、リッチェの後ろから気配を感じ取った。
「危ない!! リッチェさん!!」
彼女の元まで走り、飛び込んで、押し倒す。それと同時に刃が上空を掠めた。
「っつ、油断しやした」
リッチェはマルクエンの腕に抱きかかえられながら、はにかんで言う。
マルクエンの倍はあろうかという大きさの骸骨剣士が左右の手に剣を持ち、こちらを睨みつけていた。
「いくぞ!! ラミッタ!!」
「えぇ!!」
マルクエンは立ち上がりながら剣を下から斬り上げて光の刃を放つ。
それは、骸骨剣士の左腕を切り落とし、ラミッタが放つ炎の矢が骨を削り取っていく。
走り、近付いたマルクエンは、剣を叩き付けるように振り下ろす。
バキバキィと音が響き、骸骨剣士はバラバラになって砕け散った。
「いやー、流石は勇者様で!!」
リッチェは笑顔を作り、拍手をする。
「もう魔物の気配はしないわね」
「えぇ、左様で」
皆は剣をしまって地上へと階段を上った。日がまだ暮れていないので、マルクエンは眩しさに目を細める。
軽くホコリを払いながらリッチェが言った。
「勇者様、帰りはゆっくりと行きますかい?」
特に急ぐ必要も無いので、マルクエンは同意した。
「えぇ、そうですね」
三人は歩いて『ロットオセ』の街を目指す。
「リッチェさん。少し気になったんだけど、町長はあなたを元盗賊だって言っていたけど。それにしては強すぎないかしら?」
「へぇ、勇者様からお褒めに預かり、光栄でございやす」
帰り道を歩きながら、マルクエンも強さの理由を知りたくて、質問をする。
「リッチェさんはどこかで訓練を?」
「あっしの事なんて語るほどの事じゃありやせんが、帰り道の暇つぶしにというのであれば」
ラミッタは片目を閉じて考えてから言う。
「そうね、暇だしお聞かせ願おうかしら」
「承知しやした! あっしは盗賊の一族でしたがね、美学は持っていたんでさぁ」
その美学とは何だろうとマルクエンは聞き返す。
「美学……ですか?」
「えぇ、貧しい者からは奪わない。あっし等は悪徳商人やら、悪い金持ち専門の盗賊でしたわ」
なるほどね、とラミッタは口に出して納得した。
「当然、そうなると強くなくちゃ盗みは働けやせん。あっしは小さい頃から自分の爺さんに、しごかれたわけでしてね」
マルクエンがうんうんと頷いて尋ねる。
「それで、その強さを?」
「えぇ、勇者様には及びやせんがね。自慢じゃありやせんが、街の冒険者や衛兵では相手にならないぐらいには強いみたいでして」
ラミッタはそこで疑問を持つ。
「それなら、何故わざわざ冒険者になったのかしら?」
「そうですねい、ゴメス町長から取り引きを持ち掛けられやしてね。盗賊としての罪は水に流すから冒険者にならないかと」
「で、それを飲んだわけね」
「その通りで、盗みをしたくなる奴もいなかったのでね。それに追われる生活にも疲れちまいまして」
マルクエンも「そうでしたか」と話を聞いて言う。
「ま、そんなこんなで冒険者をやらせて頂いておりやす」
その後はリッチェがマルクエン達の世界の事を聞きたがっていたので、今までの経歴を簡単に話し、気付いたら街へ着いていた。
「それじゃ、報告と参りますかね」
リッチェの後に付いて、またゴメス町長の元へと戻る。
「町長、仕事は終わりやしたぜ。と言っても殆ど勇者様のおかげですがね」
「おぉ、流石は勇者様! リッチェもご苦労だったな」
ゴメス町長にリッチェはぺこりと頭を下げた。
「ひとまずは、これで魔物の襲来もマシにはなるでしょう」
「えぇ……」
マルクエンの言葉に、ゴメス町長は険しい顔をした。箱がある限り、まだ街は危険にさらされている。
「ともかく、箱は我々で監視しますので、勇者様はご用意させて頂いた宿でお休みください。長旅でお疲れでしょう」
笑顔を作り、ゴメス町長は言った。マルクエンも素直にその好意に甘えることにする。
「そうですね、ありがとうございます」
「あっしが案内します。行きやしょう勇者様」
そう言いながらラミッタも剣で敵を切り裂き、地面を足でダンっと踏んで土の槍を出現させて貫く。
「ラミッタ様も流石は勇者様で!!」
彼女たち二人によって魔物はすぐさま殲滅された。
「あら、宿敵の出番は無くなっちゃったわね」
ラミッタに言われマルクエンは軽く笑いながら頭を掻く。
「それじゃ、中へ潜入といきやすか」
ジメジメとした遺跡の中に三人は消えゆく。リッチェが照明弾の魔法を使っているので周囲は明るい。
入口の狭さとは裏腹に、遺跡の中は広かった。足を踏み入れると、数十にも及ぶ魔物が一斉にこちらを振り返る。
先ほど出番の無かったマルクエンは、ここぞとばかりに前へ出て魔物達を薙ぎ払い切り捨てた。
後からラミッタとリッチェも加勢し、次々に魔物は煙へと変わる。
「あらかた倒し終えたか?」
マルクエンは言うと同時に、リッチェの後ろから気配を感じ取った。
「危ない!! リッチェさん!!」
彼女の元まで走り、飛び込んで、押し倒す。それと同時に刃が上空を掠めた。
「っつ、油断しやした」
リッチェはマルクエンの腕に抱きかかえられながら、はにかんで言う。
マルクエンの倍はあろうかという大きさの骸骨剣士が左右の手に剣を持ち、こちらを睨みつけていた。
「いくぞ!! ラミッタ!!」
「えぇ!!」
マルクエンは立ち上がりながら剣を下から斬り上げて光の刃を放つ。
それは、骸骨剣士の左腕を切り落とし、ラミッタが放つ炎の矢が骨を削り取っていく。
走り、近付いたマルクエンは、剣を叩き付けるように振り下ろす。
バキバキィと音が響き、骸骨剣士はバラバラになって砕け散った。
「いやー、流石は勇者様で!!」
リッチェは笑顔を作り、拍手をする。
「もう魔物の気配はしないわね」
「えぇ、左様で」
皆は剣をしまって地上へと階段を上った。日がまだ暮れていないので、マルクエンは眩しさに目を細める。
軽くホコリを払いながらリッチェが言った。
「勇者様、帰りはゆっくりと行きますかい?」
特に急ぐ必要も無いので、マルクエンは同意した。
「えぇ、そうですね」
三人は歩いて『ロットオセ』の街を目指す。
「リッチェさん。少し気になったんだけど、町長はあなたを元盗賊だって言っていたけど。それにしては強すぎないかしら?」
「へぇ、勇者様からお褒めに預かり、光栄でございやす」
帰り道を歩きながら、マルクエンも強さの理由を知りたくて、質問をする。
「リッチェさんはどこかで訓練を?」
「あっしの事なんて語るほどの事じゃありやせんが、帰り道の暇つぶしにというのであれば」
ラミッタは片目を閉じて考えてから言う。
「そうね、暇だしお聞かせ願おうかしら」
「承知しやした! あっしは盗賊の一族でしたがね、美学は持っていたんでさぁ」
その美学とは何だろうとマルクエンは聞き返す。
「美学……ですか?」
「えぇ、貧しい者からは奪わない。あっし等は悪徳商人やら、悪い金持ち専門の盗賊でしたわ」
なるほどね、とラミッタは口に出して納得した。
「当然、そうなると強くなくちゃ盗みは働けやせん。あっしは小さい頃から自分の爺さんに、しごかれたわけでしてね」
マルクエンがうんうんと頷いて尋ねる。
「それで、その強さを?」
「えぇ、勇者様には及びやせんがね。自慢じゃありやせんが、街の冒険者や衛兵では相手にならないぐらいには強いみたいでして」
ラミッタはそこで疑問を持つ。
「それなら、何故わざわざ冒険者になったのかしら?」
「そうですねい、ゴメス町長から取り引きを持ち掛けられやしてね。盗賊としての罪は水に流すから冒険者にならないかと」
「で、それを飲んだわけね」
「その通りで、盗みをしたくなる奴もいなかったのでね。それに追われる生活にも疲れちまいまして」
マルクエンも「そうでしたか」と話を聞いて言う。
「ま、そんなこんなで冒険者をやらせて頂いておりやす」
その後はリッチェがマルクエン達の世界の事を聞きたがっていたので、今までの経歴を簡単に話し、気付いたら街へ着いていた。
「それじゃ、報告と参りますかね」
リッチェの後に付いて、またゴメス町長の元へと戻る。
「町長、仕事は終わりやしたぜ。と言っても殆ど勇者様のおかげですがね」
「おぉ、流石は勇者様! リッチェもご苦労だったな」
ゴメス町長にリッチェはぺこりと頭を下げた。
「ひとまずは、これで魔物の襲来もマシにはなるでしょう」
「えぇ……」
マルクエンの言葉に、ゴメス町長は険しい顔をした。箱がある限り、まだ街は危険にさらされている。
「ともかく、箱は我々で監視しますので、勇者様はご用意させて頂いた宿でお休みください。長旅でお疲れでしょう」
笑顔を作り、ゴメス町長は言った。マルクエンも素直にその好意に甘えることにする。
「そうですね、ありがとうございます」
「あっしが案内します。行きやしょう勇者様」


