マルクエンとラミッタは王都を発ち、ロットオセという街を目指す。
スフィンとマッサとも別れ、また二人だけの旅路だ。
マルクエンは馬に乗り、ラミッタはその隣を飛びながらの旅。
「明日には着きそうね、今日は野宿かしら」
「あぁ、そうだな」
もうすっかり慣れたもので、荷台からキャンプ道具を取り出し、設営を始めるマルクエン。
ラミッタも料理を二人分作る。
二人の間に会話は無かったが、気まずさはもう感じない。
「こっちは出来たわよ」
ラミッタは干し肉のスープを作り、マルクエンを呼ぶ。
「あぁ、分かった」
ラミッタの隣にマルクエンは腰を下ろし、干し肉のスープと目玉焼き、パンを受け取った。
そのメニューをじっと見つめるマルクエンにラミッタは声を掛ける。
「どうしたの?」
「あ、いや、この世界に来て……。というか、初めて食べたラミッタの手料理と同じだと思ってな」
それを聞いてラミッタは顔を赤くした。
「な、何でそんなの覚えてんのよ!! このド変態卑猥野郎!!」
「ははは……」
マルクエンは軽く笑ってスープを食べ始める。
「やっぱり、ラミッタの料理は美味いな」
「なっ、何言ってんのよ本当に!!」
ラミッタはそっぽを向いて食事をし始めた。夜は今日も更けていく。
翌日、テントを撤収し、二人は『ロットオセ』という街へ近付く。
街道を進むと遠くにそれらしき街が見えてきた。
「どうやらあそこね」
二人は街の入り口までやってくると、衛兵に話しかける。
「こんにちは。私はマルクエンと申しますが……」
マルクエンという名を聞いて衛兵は慌てて敬礼をした。
「はっ、マルクエン様、ラミッタ様!! お待ちしておりました!!」
「ははは……。そこまでかしこまらなくても」
「どうぞ街へお入りください!! 伝令!! 今すぐ兵士長と町議会へ勇者様のご到着を知らせに!!」
一気に慌ただしくなるので、周りの人々も何だ何だとマルクエン達に注目が行く。
「あの、私達お昼がまだだから、何処かで食べたいんですけど」
視線から逃げたい気持ちも込めてラミッタが言った。
「かしこまりました!! 飲食店でしたらあちらに、上の方々にはお食事をするとお伝えしておきますので」
街中に入り、馬車を預けて飲食店を探す二人。
「ラミッタは何が食べたい?」
「甘い物が食べられればそれで良いわ」
二人は飲食店街をブラついていると、声を掛けられる。
「いらっしゃいませー!! そこのお二人様!! パンケーキはいかがですかー? パスタもありますよー?」
「おぉ、パンケーキがあるらしいぞ。好きだろパンケーキ?」
「確かに好きだけど、いちいち覚えないでよ!! ド変態卑猥野郎!!」
店内に招かれると、マルクエンとラミッタは通りに面した席へと案内された。
「それではこちらがメニューです! お決まりになりましたらお声がけ下さい!」
女店員はそう告げると別の客の対応を始める。
「おぉ、色々とあるな。どうしたものか……」
「アンタはどうせこれでしょ? ほうれん草のクリームパスタ」
意地悪そうな笑みを浮かべてラミッタが言うと、マルクエンは「ふむ」と小さく漏らす。
「確かにそれは私の好物だ。覚えていてくれたんだなラミッタ」
「は、はぁー!? 騎士様がそんなもん食べるんだって変に印象に残っていただけよ!!!」
「ははは、そうか」
マルクエンは笑い、ラミッタはむくれた。
「まぁ、そうだな。それで良い。ついでに揚げポテトでも頼むか」
「私もパンケーキで良いわ」
店員を呼んで注文を伝える。先に運ばれたアイスティーを二人は手に取る。
「ふぅー。美味い紅茶だな」
「アンタって何を食べても美味いって言うわよね」
「そうか? 本当に美味いと思ったものにしか言わないんだがなぁ」
しばらくして次に揚げポテトがやってくる。
「うむ、美味い美味い」
「芋ってさ、貧乏人の食べ物でしょ? 騎士様が食べて美味いものなの?」
「いや、美味いものは美味いぞ」
きょとんとした顔でポテトを口に運んでいるので、本心なのだろう。
「やっぱ私は、ジャガイモって子供の頃食べさせられまくったから好きになれないわ」
「そうか……。大丈夫だ、後は私が全部食べる」
「ちょっ、食べないとは言ってないでしょ!?」
二人でもしゃもちゃポテトを食べていると、メインであるほうれん草のクリームパスタとパンケーキが運ばれてきた。
「おぉ、この店のも美味そうだ。イタダキマス!!」
マルクエンはフォークにパスタを巻き付けて食べる。ほうれん草の風味とクリームの滑らかでほのかな甘みが口いっぱいに広がった。
ラミッタもハチミツをパンケーキに掛けて、ナイフとフォークで切り分け口に運ぶ。とろけるような甘さで自然と笑みがこぼれた。
パスタを食べながら、あまりにも美味しそうに食べるラミッタを見てマルクエンは思わず尋ねる。
「あー、ラミッタ。そのパンケーキはそんなに美味いのか?」
「えぇ、なかなかのモノよ」
「気になるな……。一皿頼んでみるか」
「太るわよ、ちょっとで良いなら食べてみる?」
ラミッタは切り分けたパンケーキをフォークに刺してマルクエンに差し出す。
「おぉ、良いのか!?」
マルクエンは思わずそのまま食べてしまった。時が止まる。
「ちょっ、ちょっと何やってんのよ!?」
「た、食べたらダメだっか!?」
「いや、そうじゃなくて!! なんで直接食べちゃうのよ!!」
「あ、あぁ、悪い……」
ラミッタは顔を赤くして喚いている。
「新しいフォークを貰ってくる。すまん」
「い、いや、別にそんなことしなくても……。ただ、恥ずかしいってだけで!!!」
「確かに、パンケーキを食べさせて貰うなんて恋人同士がやる事だな……」
「こっ、恋人ってあんたねぇ!!!」
ラミッタは照れ隠しにムスッとして席で腕を組む。
スフィンとマッサとも別れ、また二人だけの旅路だ。
マルクエンは馬に乗り、ラミッタはその隣を飛びながらの旅。
「明日には着きそうね、今日は野宿かしら」
「あぁ、そうだな」
もうすっかり慣れたもので、荷台からキャンプ道具を取り出し、設営を始めるマルクエン。
ラミッタも料理を二人分作る。
二人の間に会話は無かったが、気まずさはもう感じない。
「こっちは出来たわよ」
ラミッタは干し肉のスープを作り、マルクエンを呼ぶ。
「あぁ、分かった」
ラミッタの隣にマルクエンは腰を下ろし、干し肉のスープと目玉焼き、パンを受け取った。
そのメニューをじっと見つめるマルクエンにラミッタは声を掛ける。
「どうしたの?」
「あ、いや、この世界に来て……。というか、初めて食べたラミッタの手料理と同じだと思ってな」
それを聞いてラミッタは顔を赤くした。
「な、何でそんなの覚えてんのよ!! このド変態卑猥野郎!!」
「ははは……」
マルクエンは軽く笑ってスープを食べ始める。
「やっぱり、ラミッタの料理は美味いな」
「なっ、何言ってんのよ本当に!!」
ラミッタはそっぽを向いて食事をし始めた。夜は今日も更けていく。
翌日、テントを撤収し、二人は『ロットオセ』という街へ近付く。
街道を進むと遠くにそれらしき街が見えてきた。
「どうやらあそこね」
二人は街の入り口までやってくると、衛兵に話しかける。
「こんにちは。私はマルクエンと申しますが……」
マルクエンという名を聞いて衛兵は慌てて敬礼をした。
「はっ、マルクエン様、ラミッタ様!! お待ちしておりました!!」
「ははは……。そこまでかしこまらなくても」
「どうぞ街へお入りください!! 伝令!! 今すぐ兵士長と町議会へ勇者様のご到着を知らせに!!」
一気に慌ただしくなるので、周りの人々も何だ何だとマルクエン達に注目が行く。
「あの、私達お昼がまだだから、何処かで食べたいんですけど」
視線から逃げたい気持ちも込めてラミッタが言った。
「かしこまりました!! 飲食店でしたらあちらに、上の方々にはお食事をするとお伝えしておきますので」
街中に入り、馬車を預けて飲食店を探す二人。
「ラミッタは何が食べたい?」
「甘い物が食べられればそれで良いわ」
二人は飲食店街をブラついていると、声を掛けられる。
「いらっしゃいませー!! そこのお二人様!! パンケーキはいかがですかー? パスタもありますよー?」
「おぉ、パンケーキがあるらしいぞ。好きだろパンケーキ?」
「確かに好きだけど、いちいち覚えないでよ!! ド変態卑猥野郎!!」
店内に招かれると、マルクエンとラミッタは通りに面した席へと案内された。
「それではこちらがメニューです! お決まりになりましたらお声がけ下さい!」
女店員はそう告げると別の客の対応を始める。
「おぉ、色々とあるな。どうしたものか……」
「アンタはどうせこれでしょ? ほうれん草のクリームパスタ」
意地悪そうな笑みを浮かべてラミッタが言うと、マルクエンは「ふむ」と小さく漏らす。
「確かにそれは私の好物だ。覚えていてくれたんだなラミッタ」
「は、はぁー!? 騎士様がそんなもん食べるんだって変に印象に残っていただけよ!!!」
「ははは、そうか」
マルクエンは笑い、ラミッタはむくれた。
「まぁ、そうだな。それで良い。ついでに揚げポテトでも頼むか」
「私もパンケーキで良いわ」
店員を呼んで注文を伝える。先に運ばれたアイスティーを二人は手に取る。
「ふぅー。美味い紅茶だな」
「アンタって何を食べても美味いって言うわよね」
「そうか? 本当に美味いと思ったものにしか言わないんだがなぁ」
しばらくして次に揚げポテトがやってくる。
「うむ、美味い美味い」
「芋ってさ、貧乏人の食べ物でしょ? 騎士様が食べて美味いものなの?」
「いや、美味いものは美味いぞ」
きょとんとした顔でポテトを口に運んでいるので、本心なのだろう。
「やっぱ私は、ジャガイモって子供の頃食べさせられまくったから好きになれないわ」
「そうか……。大丈夫だ、後は私が全部食べる」
「ちょっ、食べないとは言ってないでしょ!?」
二人でもしゃもちゃポテトを食べていると、メインであるほうれん草のクリームパスタとパンケーキが運ばれてきた。
「おぉ、この店のも美味そうだ。イタダキマス!!」
マルクエンはフォークにパスタを巻き付けて食べる。ほうれん草の風味とクリームの滑らかでほのかな甘みが口いっぱいに広がった。
ラミッタもハチミツをパンケーキに掛けて、ナイフとフォークで切り分け口に運ぶ。とろけるような甘さで自然と笑みがこぼれた。
パスタを食べながら、あまりにも美味しそうに食べるラミッタを見てマルクエンは思わず尋ねる。
「あー、ラミッタ。そのパンケーキはそんなに美味いのか?」
「えぇ、なかなかのモノよ」
「気になるな……。一皿頼んでみるか」
「太るわよ、ちょっとで良いなら食べてみる?」
ラミッタは切り分けたパンケーキをフォークに刺してマルクエンに差し出す。
「おぉ、良いのか!?」
マルクエンは思わずそのまま食べてしまった。時が止まる。
「ちょっ、ちょっと何やってんのよ!?」
「た、食べたらダメだっか!?」
「いや、そうじゃなくて!! なんで直接食べちゃうのよ!!」
「あ、あぁ、悪い……」
ラミッタは顔を赤くして喚いている。
「新しいフォークを貰ってくる。すまん」
「い、いや、別にそんなことしなくても……。ただ、恥ずかしいってだけで!!!」
「確かに、パンケーキを食べさせて貰うなんて恋人同士がやる事だな……」
「こっ、恋人ってあんたねぇ!!!」
ラミッタは照れ隠しにムスッとして席で腕を組む。


