「こんばんはー、お隣良いですかー?」
「もちのろん! おいでませー」
マッサは上機嫌で女の子たちを隣の席に招き入れる。
「なに飲みますか?」
「おっ、そうだな……。俺はとりあえずウィスキーロックで!」
マッサは慣れたようにそう注文を入れた。
「そっちのお兄さんは?」
「あ、それじゃ、私はミルクで……」
「ミルク? かーわーいーいー!!」
可愛いと言われ、赤面するマルクエン。
「お兄さん達、冒険者ですかー?」
「そうそう、よく分かったね?」
「だって、体鍛えてる感じですもん! たくましー!」
おだてられて、マッサは腕を曲げて力こぶを作る。
「私、ラメキャって言いますー」
マッサの隣に座った、金髪をツーサイドアップにしている女はそう自己紹介をしてきた。
「私はアスノでーす」
マルクエンの隣の長い茶髪の女もそう言う。
「俺はマッサ!」
「あ、私はマルクエンです」
マルクエンの名前を聞いた途端、一瞬沈黙が流れ、その後女の子達は爆笑する。
「お兄さん、真面目そうなのに冗談言うんだー!」
「マルクエンって最近勇者になった人の名前じゃないですかー」
自分の名前が知られている事にマルクエンは驚き、同時に恥ずかしくなった。
「そうそう、案外冗談を言うんだ。そうですよね? マルガーリさん?」
ウィンクをしながら言うマッサを見て、少し考えた後に「あぁ、そういう事か」と思って返事をする。
「そ、そう。私はマルガーリです。さっきのは冗談です!」
「あー、名前似てるんだ。だからねー」
「だけど、お兄さん体凄いから勇者でもおかしくないよね?」
マルクエンとマッサは女の子と話を続けた。
女性に対し、口下手なマルクエンも相手は流石はプロと言ったところか、話は弾む。
「マッサさんとマルガーリさんって、どんな人がタイプですか?」
「俺は金髪でー、髪が長くてー、綺麗なおねーちゃんかな?」
「もしかして、私? なんちゃって!」
長い金髪のラメキャはそんな事を言う。
「そうそう、良く分かったね?」
「やだもー、お上手!」
「マルガーリさんはどうですか?」
「えっ、わ、私ですか? そうだな……」
マルクエンは好みの女性を思い浮かべた。昔はぼんやりとしか思いつかなかったが、その瞬間ラミッタの姿がちらつき、自分で驚く。
「あ、いや、違う!!」
「どうしたんですか? マルガーリさん?」
不思議そうに見つめるアスノ。彼女も長い茶髪で、そこにラミッタの影が見え、より動揺する。
「その人片思い……。いや、多分両想い中なんだよ。何かアドバイスしてあげて」
「りょ、両想いって!? まさか、そんな事は……」
「えっ、俺は誰とはいっていやせんがね?」
しまったとマルクエンは思う。
「えー、恋バナですか? 聞かせて聞かせて!!」
目を輝かせる女の子達。マルクエンは逃げ場を失った。
「恋バナ……ってものじゃないのですが、昔ちょっと斬りあ……。いや、争っていた女性が居るんですがね」
「うんうん」
アスノとラメキャはマルクエンに頷く。
「好きかどうかは分からないのですが、仲良くなれたらとは思っています」
「えー、それマルガーリさん絶対好きじゃーん」
「そ、そうなのですか!?」
マルクエンは酒も入っていないのに顔を赤くさせている。
「で、ですが、かつて彼女とはとても仲が悪くて……」
「でも、今は仲良いんでしょ?」
金髪の女ラメキャが言うと、マルクエンはうーんと考えた。
「仲が良いとは言いづらいと言うか……」
「そうなんですかー?」
「私の事を『宿敵』だとか『ド変態卑猥野郎』だとか言ってきますし」
それを聞いて女性陣は笑いだす。
「マルガーリさん真面目そうに見えてそうなの?」
「い、いや、私は決して変態などではなく……」
否定し始めるマルクエンを見てマッサまで一緒に笑い出した。
「まぁまぁ、俺から見たらお二人は充分仲がよろしいですよ。一緒の部屋で寝泊まりするぐらいには」
マッサの言葉を聞いてラメキャとアスノは驚く。
「一緒の部屋で寝泊まりって、それもう完全に心許しちゃってるじゃん!」
「むしろそれで付き合ってないんですか?」
マルクエンは「えぇ!?」っと驚きの声を上げる。
「そのお相手の女性とは、どこまで進んでるんですか?」
「ど、どこまでと言いますと?」
「キスぐらいしちゃってたり?」
「き、キス!?」
マルクエンはあたふたとしだした。
「い、いえ、そんな事は……」
「そうだよな。マルガーリさんは一緒に冒険して苦楽を共にして、食事を作ったり作ってもらったり、背中を預けられると思っているぐらいだもんな!」
「うっそ、そこまで行って好きにならないとか、嘘ですよね……?」
アスノが苦笑いしながらマルクエンに尋ねる。
「え、いや、まぁ、何というか……」
ハッキリとしないマルクエンに、うーんと、ラメキャが考えて言う。
「あれかな? 冒険者同士の割り切った関係というか?」
「まぁ、私と彼女は同じ目的の為に動いているってのはありますがね……」
「目的って言うと?」
「魔王退治です」
一瞬の間が開いて、全員が爆笑し始めた。
「やだー、やっぱりマルガーリさん面白ーい!!」
「真面目そうなのに冗談すごーい!!」
「そうそう、そうなのよ、マルガーリさんはこういう人なのよ!!」
ひとしきり笑った後にラメキャが話し始める。
「ここまで聞いちゃったんだから、もう誤魔化さないで言っちゃいなよマルガーリさん!! その人の事好きなの?」
「え、えっとまぁ、私は嫌いではないのですが……」
「好きかどうかよ?」
顔をこれ程までにないぐらい赤面させたマルクエンは意を決して言う。
「彼女の事は、うーん、その、仲間として好きです」
ここまで来ても煮え切らない返答に、やきもきする三人。
「まぁ、マルガーリさんを追い詰めるのはここまでにしときやしょう。次は俺の恋バナでもはなしちゃうよーん?」
「もちのろん! おいでませー」
マッサは上機嫌で女の子たちを隣の席に招き入れる。
「なに飲みますか?」
「おっ、そうだな……。俺はとりあえずウィスキーロックで!」
マッサは慣れたようにそう注文を入れた。
「そっちのお兄さんは?」
「あ、それじゃ、私はミルクで……」
「ミルク? かーわーいーいー!!」
可愛いと言われ、赤面するマルクエン。
「お兄さん達、冒険者ですかー?」
「そうそう、よく分かったね?」
「だって、体鍛えてる感じですもん! たくましー!」
おだてられて、マッサは腕を曲げて力こぶを作る。
「私、ラメキャって言いますー」
マッサの隣に座った、金髪をツーサイドアップにしている女はそう自己紹介をしてきた。
「私はアスノでーす」
マルクエンの隣の長い茶髪の女もそう言う。
「俺はマッサ!」
「あ、私はマルクエンです」
マルクエンの名前を聞いた途端、一瞬沈黙が流れ、その後女の子達は爆笑する。
「お兄さん、真面目そうなのに冗談言うんだー!」
「マルクエンって最近勇者になった人の名前じゃないですかー」
自分の名前が知られている事にマルクエンは驚き、同時に恥ずかしくなった。
「そうそう、案外冗談を言うんだ。そうですよね? マルガーリさん?」
ウィンクをしながら言うマッサを見て、少し考えた後に「あぁ、そういう事か」と思って返事をする。
「そ、そう。私はマルガーリです。さっきのは冗談です!」
「あー、名前似てるんだ。だからねー」
「だけど、お兄さん体凄いから勇者でもおかしくないよね?」
マルクエンとマッサは女の子と話を続けた。
女性に対し、口下手なマルクエンも相手は流石はプロと言ったところか、話は弾む。
「マッサさんとマルガーリさんって、どんな人がタイプですか?」
「俺は金髪でー、髪が長くてー、綺麗なおねーちゃんかな?」
「もしかして、私? なんちゃって!」
長い金髪のラメキャはそんな事を言う。
「そうそう、良く分かったね?」
「やだもー、お上手!」
「マルガーリさんはどうですか?」
「えっ、わ、私ですか? そうだな……」
マルクエンは好みの女性を思い浮かべた。昔はぼんやりとしか思いつかなかったが、その瞬間ラミッタの姿がちらつき、自分で驚く。
「あ、いや、違う!!」
「どうしたんですか? マルガーリさん?」
不思議そうに見つめるアスノ。彼女も長い茶髪で、そこにラミッタの影が見え、より動揺する。
「その人片思い……。いや、多分両想い中なんだよ。何かアドバイスしてあげて」
「りょ、両想いって!? まさか、そんな事は……」
「えっ、俺は誰とはいっていやせんがね?」
しまったとマルクエンは思う。
「えー、恋バナですか? 聞かせて聞かせて!!」
目を輝かせる女の子達。マルクエンは逃げ場を失った。
「恋バナ……ってものじゃないのですが、昔ちょっと斬りあ……。いや、争っていた女性が居るんですがね」
「うんうん」
アスノとラメキャはマルクエンに頷く。
「好きかどうかは分からないのですが、仲良くなれたらとは思っています」
「えー、それマルガーリさん絶対好きじゃーん」
「そ、そうなのですか!?」
マルクエンは酒も入っていないのに顔を赤くさせている。
「で、ですが、かつて彼女とはとても仲が悪くて……」
「でも、今は仲良いんでしょ?」
金髪の女ラメキャが言うと、マルクエンはうーんと考えた。
「仲が良いとは言いづらいと言うか……」
「そうなんですかー?」
「私の事を『宿敵』だとか『ド変態卑猥野郎』だとか言ってきますし」
それを聞いて女性陣は笑いだす。
「マルガーリさん真面目そうに見えてそうなの?」
「い、いや、私は決して変態などではなく……」
否定し始めるマルクエンを見てマッサまで一緒に笑い出した。
「まぁまぁ、俺から見たらお二人は充分仲がよろしいですよ。一緒の部屋で寝泊まりするぐらいには」
マッサの言葉を聞いてラメキャとアスノは驚く。
「一緒の部屋で寝泊まりって、それもう完全に心許しちゃってるじゃん!」
「むしろそれで付き合ってないんですか?」
マルクエンは「えぇ!?」っと驚きの声を上げる。
「そのお相手の女性とは、どこまで進んでるんですか?」
「ど、どこまでと言いますと?」
「キスぐらいしちゃってたり?」
「き、キス!?」
マルクエンはあたふたとしだした。
「い、いえ、そんな事は……」
「そうだよな。マルガーリさんは一緒に冒険して苦楽を共にして、食事を作ったり作ってもらったり、背中を預けられると思っているぐらいだもんな!」
「うっそ、そこまで行って好きにならないとか、嘘ですよね……?」
アスノが苦笑いしながらマルクエンに尋ねる。
「え、いや、まぁ、何というか……」
ハッキリとしないマルクエンに、うーんと、ラメキャが考えて言う。
「あれかな? 冒険者同士の割り切った関係というか?」
「まぁ、私と彼女は同じ目的の為に動いているってのはありますがね……」
「目的って言うと?」
「魔王退治です」
一瞬の間が開いて、全員が爆笑し始めた。
「やだー、やっぱりマルガーリさん面白ーい!!」
「真面目そうなのに冗談すごーい!!」
「そうそう、そうなのよ、マルガーリさんはこういう人なのよ!!」
ひとしきり笑った後にラメキャが話し始める。
「ここまで聞いちゃったんだから、もう誤魔化さないで言っちゃいなよマルガーリさん!! その人の事好きなの?」
「え、えっとまぁ、私は嫌いではないのですが……」
「好きかどうかよ?」
顔をこれ程までにないぐらい赤面させたマルクエンは意を決して言う。
「彼女の事は、うーん、その、仲間として好きです」
ここまで来ても煮え切らない返答に、やきもきする三人。
「まぁ、マルガーリさんを追い詰めるのはここまでにしときやしょう。次は俺の恋バナでもはなしちゃうよーん?」


