「スフィン将軍。何か必要なものは……」
二人きりの気まずさから、ラミッタはスフィンに声を掛けてみる。
「そうだな、防具が欲しいが、今の持ち合わせでは無理だろう」
ヒビや穴だらけの白い鎧を見せつけ、スフィンは返した。会話が終わる。
元の世界でもスフィンとラミッタは二人きりになる事があったが、何だか今はよそよそしい。
「イーヌの騎士と街を歩けなくて残念か?」
「い、いえ!? そんな事ありませんが!?」
ラミッタは手を振って必死に否定した。
「まぁいい。そろそろ集合の時間だな」
宿場町を見て回った各々は集合場所である時計塔の前へと集まる。
「お、スフィンさんとラミッタさんも来たみたいですぜ」
そこには先にマッサとマルクエンが待っていた。
マルクエンは呑気に手を振っている。
「宿は良い感じに取れましたぜ。しかも全員個室! 久しぶりに気兼ねなくゆっくりしてくださいや」
「そうか」
スフィンは短く返すだけだった。
「あ、そうだ。みんなの分も買っておいたんですよ。この街名物、くるみのせんべい焼き」
大きなせんべいをマッサとラミッタに渡すマルクエン。その流れで恐る恐るスフィンにも手渡そうとした。
意外にもスフィンは手を出して受け取ってくれ、マルクエンは優しく笑う。
「それじゃ! 食べながら宿屋にでも向かいますかー」
宿屋に荷物を預け、4人は飯屋を探す。
「今日は何食べたいっすか?」
マッサの言葉にマルクエンはうーんと考える。
「肉料理が食べたい気分ですね」
「私は任せる」
興味なさげにスフィンが言う。
「私も適当でいいわ」
「それじゃ、マルクエンさんのリクエストで肉料理っつーことで!」
飲食店街に行くと、香ばしい肉と香辛料の匂いに誘われ、足がそちらへ向いた。
「お、ここ良さそうっすね!!」
マッサが指さすのは焼肉屋だ。
「肉を炭火で焼いて、ご飯とモリモリと。最高じゃないっすか!!」
「えぇ、そうですね。行きましょうか」
マッサの言葉を聞いてマルクエンも腹がすく。
「いらっしゃいませー!!!」
威勢の良い店員の声が出迎えてくれ、4人は席に案内された。
「とりあえず焼肉セット4人前と、後はビール3つとリンゴジュース1つで!」
しばらくして持ち運ばれる肉の山と飲み物。ジョッキを手に取りマッサは掲げる。
「はい、かんぱーい!」
乾杯の音頭に乗ったのはマルクエンだけで、無視して飲み始めているスフィンと、それを見て気まずそうにするラミッタ。
「スフィンさん。飲んじゃったのー!?」
「ふん、くだらん」
「まぁいいや。肉、焼いちゃいますか?」
テーブルの真ん中には穴が開いており、そこに火のついた炭。その上に網が置かれている。
マッサは肉を次々に網の上に並べた。
じゅうううっといい音を立てて焼かれていく肉。マルクエンは思わずごくりと生唾を飲んだ。
「その辺もう良さそうっすね。食べましょうや!」
トングで肉を取ってそれぞれの皿に載せていくマッサ。
「ありがとうございます。それじゃイタダキマス!」
マルクエンはタレを絡めて肉を頬張った。炭火の香ばしさと、あまじょっぱいタレ。それに何と言っても肉のうま味が幸せを感じさせる。
「うまい!!」
「まったく、うるさい男だな」
感動するマルクエンを尻目に、スフィンは黙々と食べながらビールを飲んでいた。
夕飯が終わり、個室で一人。マルクエンはベッドに寝ころびながら天井を見上げる。
一人でこうボーっとするのはいつぶりだろうと考えていた。
こちらの世界に来てから、いつも隣にはラミッタが居るのが当たり前の日常。
元の世界では敵対し、斬り合い、殺し合いまでした仲だが。今は仲間。
そんな事を考えていたら、部屋の扉がノックされ、飛び起きた。
扉を開けるとそこには。
「ラミッタさんだと思いました? 残念、マッサでした!」
ニヤニヤとした笑みを浮かべたマッサが待っていた。
「い、いえ、何か御用ですか?」
「御用って程じゃないですがね。暇なんで夜の街へと繰り出そうかと思いましてね!」
「そうですか……」
気分転換には良いかもしれないと思ったマルクエンは誘いに乗ることにする。
「そうですね、私も行きましょう」
「そうこなくっちゃ!」
マルクエンとマッサは宿を抜け出して、夜の街へと飛び出した。
同時刻。ラミッタも何だか落ち着かないでいた。
長い茶色い髪をくるくるといじりながら、ベッドに横になる。
そんな時、部屋のドアがノックされ。ゆっくりと起き上がった。
扉を開けると。
「ラミッタ。飲みに行くぞ。付き合え」
「あ、はい。スフィン将軍!」
ラミッタも夜の街へと連れ出されるのであった。
夜の街を散策するマルクエンとマッサ。
「いやー、やっぱ王都に近い宿場街なだけあって、夜も元気元気ですねー」
「えぇ、そうですね」
街灯の明かりと、建物から漏れ出す明かりで街は十分照らされていた。
「やっぱここはチャンネーのいる店に行きたいっすね!」
「ちゃ、ちゃんねーとは?」
「お姉ちゃんですよ。女の子が居るお店に行きましょうや」
「お、女の子ですか……」
少しドキリとしたマルクエン。見透かされたようにマッサが言う。
「まぁ、ラミッタさんに悪いってんなら止めときますが」
「なっ、べ、別にラミッタとは何も……」
「それじゃ行きましょうや! 羽伸ばしも大事ですって!」
「すみませーん。お兄さん達お店をお探しで?」
丁度よく、マルクエン達はスーツ姿の男に声を掛けられた。
「はいはい、そうですよん」
「今なら1時間5000エンぽっきりで飲み放題。可愛い子も付けますよー?」
「その話。乗った!」
あれよあれよと店に連れてこられてしまったマルクエン。
スーツの男が扉が開いて大声を出す。
「お客様ご来店でーす!」
「いらっしゃいませー!!!」
女の声が出迎えてくれ、マッサは周りを見渡し笑顔になる。
マルクエンは過去に一度、うっかりサキュバスの店に入ってしまったが。その時の事を思い出した。
二人きりの気まずさから、ラミッタはスフィンに声を掛けてみる。
「そうだな、防具が欲しいが、今の持ち合わせでは無理だろう」
ヒビや穴だらけの白い鎧を見せつけ、スフィンは返した。会話が終わる。
元の世界でもスフィンとラミッタは二人きりになる事があったが、何だか今はよそよそしい。
「イーヌの騎士と街を歩けなくて残念か?」
「い、いえ!? そんな事ありませんが!?」
ラミッタは手を振って必死に否定した。
「まぁいい。そろそろ集合の時間だな」
宿場町を見て回った各々は集合場所である時計塔の前へと集まる。
「お、スフィンさんとラミッタさんも来たみたいですぜ」
そこには先にマッサとマルクエンが待っていた。
マルクエンは呑気に手を振っている。
「宿は良い感じに取れましたぜ。しかも全員個室! 久しぶりに気兼ねなくゆっくりしてくださいや」
「そうか」
スフィンは短く返すだけだった。
「あ、そうだ。みんなの分も買っておいたんですよ。この街名物、くるみのせんべい焼き」
大きなせんべいをマッサとラミッタに渡すマルクエン。その流れで恐る恐るスフィンにも手渡そうとした。
意外にもスフィンは手を出して受け取ってくれ、マルクエンは優しく笑う。
「それじゃ! 食べながら宿屋にでも向かいますかー」
宿屋に荷物を預け、4人は飯屋を探す。
「今日は何食べたいっすか?」
マッサの言葉にマルクエンはうーんと考える。
「肉料理が食べたい気分ですね」
「私は任せる」
興味なさげにスフィンが言う。
「私も適当でいいわ」
「それじゃ、マルクエンさんのリクエストで肉料理っつーことで!」
飲食店街に行くと、香ばしい肉と香辛料の匂いに誘われ、足がそちらへ向いた。
「お、ここ良さそうっすね!!」
マッサが指さすのは焼肉屋だ。
「肉を炭火で焼いて、ご飯とモリモリと。最高じゃないっすか!!」
「えぇ、そうですね。行きましょうか」
マッサの言葉を聞いてマルクエンも腹がすく。
「いらっしゃいませー!!!」
威勢の良い店員の声が出迎えてくれ、4人は席に案内された。
「とりあえず焼肉セット4人前と、後はビール3つとリンゴジュース1つで!」
しばらくして持ち運ばれる肉の山と飲み物。ジョッキを手に取りマッサは掲げる。
「はい、かんぱーい!」
乾杯の音頭に乗ったのはマルクエンだけで、無視して飲み始めているスフィンと、それを見て気まずそうにするラミッタ。
「スフィンさん。飲んじゃったのー!?」
「ふん、くだらん」
「まぁいいや。肉、焼いちゃいますか?」
テーブルの真ん中には穴が開いており、そこに火のついた炭。その上に網が置かれている。
マッサは肉を次々に網の上に並べた。
じゅうううっといい音を立てて焼かれていく肉。マルクエンは思わずごくりと生唾を飲んだ。
「その辺もう良さそうっすね。食べましょうや!」
トングで肉を取ってそれぞれの皿に載せていくマッサ。
「ありがとうございます。それじゃイタダキマス!」
マルクエンはタレを絡めて肉を頬張った。炭火の香ばしさと、あまじょっぱいタレ。それに何と言っても肉のうま味が幸せを感じさせる。
「うまい!!」
「まったく、うるさい男だな」
感動するマルクエンを尻目に、スフィンは黙々と食べながらビールを飲んでいた。
夕飯が終わり、個室で一人。マルクエンはベッドに寝ころびながら天井を見上げる。
一人でこうボーっとするのはいつぶりだろうと考えていた。
こちらの世界に来てから、いつも隣にはラミッタが居るのが当たり前の日常。
元の世界では敵対し、斬り合い、殺し合いまでした仲だが。今は仲間。
そんな事を考えていたら、部屋の扉がノックされ、飛び起きた。
扉を開けるとそこには。
「ラミッタさんだと思いました? 残念、マッサでした!」
ニヤニヤとした笑みを浮かべたマッサが待っていた。
「い、いえ、何か御用ですか?」
「御用って程じゃないですがね。暇なんで夜の街へと繰り出そうかと思いましてね!」
「そうですか……」
気分転換には良いかもしれないと思ったマルクエンは誘いに乗ることにする。
「そうですね、私も行きましょう」
「そうこなくっちゃ!」
マルクエンとマッサは宿を抜け出して、夜の街へと飛び出した。
同時刻。ラミッタも何だか落ち着かないでいた。
長い茶色い髪をくるくるといじりながら、ベッドに横になる。
そんな時、部屋のドアがノックされ。ゆっくりと起き上がった。
扉を開けると。
「ラミッタ。飲みに行くぞ。付き合え」
「あ、はい。スフィン将軍!」
ラミッタも夜の街へと連れ出されるのであった。
夜の街を散策するマルクエンとマッサ。
「いやー、やっぱ王都に近い宿場街なだけあって、夜も元気元気ですねー」
「えぇ、そうですね」
街灯の明かりと、建物から漏れ出す明かりで街は十分照らされていた。
「やっぱここはチャンネーのいる店に行きたいっすね!」
「ちゃ、ちゃんねーとは?」
「お姉ちゃんですよ。女の子が居るお店に行きましょうや」
「お、女の子ですか……」
少しドキリとしたマルクエン。見透かされたようにマッサが言う。
「まぁ、ラミッタさんに悪いってんなら止めときますが」
「なっ、べ、別にラミッタとは何も……」
「それじゃ行きましょうや! 羽伸ばしも大事ですって!」
「すみませーん。お兄さん達お店をお探しで?」
丁度よく、マルクエン達はスーツ姿の男に声を掛けられた。
「はいはい、そうですよん」
「今なら1時間5000エンぽっきりで飲み放題。可愛い子も付けますよー?」
「その話。乗った!」
あれよあれよと店に連れてこられてしまったマルクエン。
スーツの男が扉が開いて大声を出す。
「お客様ご来店でーす!」
「いらっしゃいませー!!!」
女の声が出迎えてくれ、マッサは周りを見渡し笑顔になる。
マルクエンは過去に一度、うっかりサキュバスの店に入ってしまったが。その時の事を思い出した。


