家の中で二人きりのスフィンとマッサ。
「まぁ、ここに座れ」
スフィンはベッドの横をポンポンと叩いて誘う。
「す、スフィンさん……」
酔っているスフィンは顔が紅潮し、艶やかな唇と、流れる金髪。
そして、なにより普段見せない微笑みがあった。
マッサはその隣に座る。心臓が口から出てきてしまいそうだ。
「それでは、始めるとするか」
「は、はい!!」
スフィンは身を乗り出してマッサに近付く。
「私は結構お前を気に入っているんだ」
「う、嬉しいです……」
スフィンの意外な心情に思わずにやけるマッサ。
「貴様に我が国ルーサの素晴らしさを説いて、我が軍に入隊したくなる様にしてやろう」
笑顔で言うスフィンに、思わずマッサは「はぁ?」と声を漏らしてしまう。
「え、えっと……」
「ルーサは良い国だぞ、自然は豊かで人々は優しい。イーヌの様に身分の社会ではない」
どんどんと語り始めるスフィンにマッサは叫ぶ。
「こんなのって無いよー!!!」
祭りの会場に残されたラミッタとマルクエン。
「そのー……。どうするのよ宿敵?」
「私は疲れたからそろそろ休みたいな」
「そうじゃなくて!! その、さ」
ラミッタがモジモジとしているのを見て頭に疑問符が浮かぶマルクエン。
「とりあえず空き家に行ってみよう」
「まぁ、そうね」
マルクエンの言う通り、二人は空き家に向かう。
「ラミッタは私と同じ屋根の下は嫌か?」
「別に、今更でしょ?」
「それもそうだな」
ハハハと笑うマルクエン。
「祭りでさ、一緒に踊ったら結ばれるなんて言ってたけどくだらないわよね」
「そう言うな、村の人々にはそういう信仰もあるんだ」
「イーヌで一神教のアンタが、そんな事を言うなんてね」
「私もこの世界に長く居て、感化されているのかもな」
マルクエンは家の戸を開けてラミッタを招き入れた。
寝室へ向かうと、大きなベッドが一つある。
「一つか、私はソファで寝るからラミッタ使っていいぞ」
「別に、気を使わないで!!」
「それじゃいつぞやみたいに背中合わせで寝るか?」
「なっ!! いつの事を覚えているのよ、このド変態卑猥野郎!!」
ラミッタの言葉に笑うマルクエン。
「まぁ、そうだな。背中合わせで寝るか」
「そ、そうね!!」
二人は薄着になり、ベッドの端と端にそれぞれ寝っ転がった。
「あのさ、祭り一緒に踊った男女は結ばれるなんて言ってたけど、くだらないわよね?」
「そうか? 村の伝統なのだから否定しすぎるのも良くないんじゃないのか?」
マルクエンからの思いがけない言葉に、ラミッタは小さく声を漏らして顔を赤くする。
「なっ、し、信じているの!?」
「いや……、ははっ、どうだろうな」
的を射ない回答にラミッタはじれったそうに毛布をぎゅっと握った。
「くだらないわ。私たちは敵。今は休戦中だけどね」
「敵同士だったら、ダメなのか?」
「な、何言ってんのよ!?」
しばらく沈黙が続き、ラミッタが意を決して声を出す。
「あ、あんたは、仮に、仮にだけど!! 敵と結ばれるなんてアリだと思っているの?」
答えは無い。その間がラミッタにはとても長く感じられた。
「何よ、何か言いなさいよ!!」
まだ答えは無い。ラミッタは心臓の鼓動が高鳴っているのを感じている。
だが、あまりに沈黙が長いので、ラミッタはもしかしてと思い話す。
「宿敵、もしかして寝てる?」
返事が無かった。むぅーっとラミッタはむくれて小さく言った。
「このド変態卑猥野郎……」
朝になり、マルクエンは目が覚めた。
「ふわーあっと」
ベッドの端てすぅすぅ寝ているラミッタを見てマルクエンは微笑んだ。
起こさないように部屋を出て、着替えをし、外へ向かい太陽の光を浴びた。
スフィン将軍とマッサを探すも、まだ寝ているらしい。
「勇者様、おはようごぜぇます」
村人の小さな娘から声を掛けられ、笑顔でマルクエンは挨拶を返した。
「勇者様、朝ごはん食べたの?」
「いや、まだだよ」
「私の家で食べていこーよー!!」
「いやいや、お嬢ちゃん。それは迷惑だよ?」
マルクエンはしゃがんで娘の目線に合わせて話す。
「お願いお願い!! おとーもおかーも勇者様にありがとうって言ってるから!」
「それじゃお言葉に甘えて……」
腹が空いていたマルクエンだったので、その誘いに乗ることにした。
家にまで案内され、戸を開けてもらう。
「おとー! おかー! 勇者様連れてきたべ!!」
それを聞いて娘の父は飯を吹き出し、母親はスプーンを落とした。
「なっ、なっ、ゆ、勇者様!?」
「あ、どうも……」
娘の親たちは立ち上がり、頭を下げる。
「勇者様!! 本当に村が世話になりまして……」
「い、いえ、やめて下さい!!」
マルクエンは食事中にやはり邪魔してしまったかなと思う。
「居ないから見てみたら何してんのよ……」
後ろからラミッタの声がして振り返るマルクエン。
「私、勇者様とご飯食べるの!!」
「い、いや、ウチのこんな飯なんて勇者様に食べさせられないべ!!」
母親があたふたとしながらそう言い始めた。
「やはり、ご迷惑でしたら……」
そう言って立ち去ろうとするマルクエンの手を娘がぎゅっと掴んだ。
「勇者様行っちゃいや!!!」
「お、おっかぁ、何か村長に言って何かご馳走を!!」
娘の父が外へ出ようとする。
「いえ、お気を使わずに……」
「食べてってー!!!」
娘がどうしても言い出してきかないので、それにマルクエンは負けた。
「そうですね。何かお礼はするので、お食事を頂いても構いませんか?」
「まぁ、ここに座れ」
スフィンはベッドの横をポンポンと叩いて誘う。
「す、スフィンさん……」
酔っているスフィンは顔が紅潮し、艶やかな唇と、流れる金髪。
そして、なにより普段見せない微笑みがあった。
マッサはその隣に座る。心臓が口から出てきてしまいそうだ。
「それでは、始めるとするか」
「は、はい!!」
スフィンは身を乗り出してマッサに近付く。
「私は結構お前を気に入っているんだ」
「う、嬉しいです……」
スフィンの意外な心情に思わずにやけるマッサ。
「貴様に我が国ルーサの素晴らしさを説いて、我が軍に入隊したくなる様にしてやろう」
笑顔で言うスフィンに、思わずマッサは「はぁ?」と声を漏らしてしまう。
「え、えっと……」
「ルーサは良い国だぞ、自然は豊かで人々は優しい。イーヌの様に身分の社会ではない」
どんどんと語り始めるスフィンにマッサは叫ぶ。
「こんなのって無いよー!!!」
祭りの会場に残されたラミッタとマルクエン。
「そのー……。どうするのよ宿敵?」
「私は疲れたからそろそろ休みたいな」
「そうじゃなくて!! その、さ」
ラミッタがモジモジとしているのを見て頭に疑問符が浮かぶマルクエン。
「とりあえず空き家に行ってみよう」
「まぁ、そうね」
マルクエンの言う通り、二人は空き家に向かう。
「ラミッタは私と同じ屋根の下は嫌か?」
「別に、今更でしょ?」
「それもそうだな」
ハハハと笑うマルクエン。
「祭りでさ、一緒に踊ったら結ばれるなんて言ってたけどくだらないわよね」
「そう言うな、村の人々にはそういう信仰もあるんだ」
「イーヌで一神教のアンタが、そんな事を言うなんてね」
「私もこの世界に長く居て、感化されているのかもな」
マルクエンは家の戸を開けてラミッタを招き入れた。
寝室へ向かうと、大きなベッドが一つある。
「一つか、私はソファで寝るからラミッタ使っていいぞ」
「別に、気を使わないで!!」
「それじゃいつぞやみたいに背中合わせで寝るか?」
「なっ!! いつの事を覚えているのよ、このド変態卑猥野郎!!」
ラミッタの言葉に笑うマルクエン。
「まぁ、そうだな。背中合わせで寝るか」
「そ、そうね!!」
二人は薄着になり、ベッドの端と端にそれぞれ寝っ転がった。
「あのさ、祭り一緒に踊った男女は結ばれるなんて言ってたけど、くだらないわよね?」
「そうか? 村の伝統なのだから否定しすぎるのも良くないんじゃないのか?」
マルクエンからの思いがけない言葉に、ラミッタは小さく声を漏らして顔を赤くする。
「なっ、し、信じているの!?」
「いや……、ははっ、どうだろうな」
的を射ない回答にラミッタはじれったそうに毛布をぎゅっと握った。
「くだらないわ。私たちは敵。今は休戦中だけどね」
「敵同士だったら、ダメなのか?」
「な、何言ってんのよ!?」
しばらく沈黙が続き、ラミッタが意を決して声を出す。
「あ、あんたは、仮に、仮にだけど!! 敵と結ばれるなんてアリだと思っているの?」
答えは無い。その間がラミッタにはとても長く感じられた。
「何よ、何か言いなさいよ!!」
まだ答えは無い。ラミッタは心臓の鼓動が高鳴っているのを感じている。
だが、あまりに沈黙が長いので、ラミッタはもしかしてと思い話す。
「宿敵、もしかして寝てる?」
返事が無かった。むぅーっとラミッタはむくれて小さく言った。
「このド変態卑猥野郎……」
朝になり、マルクエンは目が覚めた。
「ふわーあっと」
ベッドの端てすぅすぅ寝ているラミッタを見てマルクエンは微笑んだ。
起こさないように部屋を出て、着替えをし、外へ向かい太陽の光を浴びた。
スフィン将軍とマッサを探すも、まだ寝ているらしい。
「勇者様、おはようごぜぇます」
村人の小さな娘から声を掛けられ、笑顔でマルクエンは挨拶を返した。
「勇者様、朝ごはん食べたの?」
「いや、まだだよ」
「私の家で食べていこーよー!!」
「いやいや、お嬢ちゃん。それは迷惑だよ?」
マルクエンはしゃがんで娘の目線に合わせて話す。
「お願いお願い!! おとーもおかーも勇者様にありがとうって言ってるから!」
「それじゃお言葉に甘えて……」
腹が空いていたマルクエンだったので、その誘いに乗ることにした。
家にまで案内され、戸を開けてもらう。
「おとー! おかー! 勇者様連れてきたべ!!」
それを聞いて娘の父は飯を吹き出し、母親はスプーンを落とした。
「なっ、なっ、ゆ、勇者様!?」
「あ、どうも……」
娘の親たちは立ち上がり、頭を下げる。
「勇者様!! 本当に村が世話になりまして……」
「い、いえ、やめて下さい!!」
マルクエンは食事中にやはり邪魔してしまったかなと思う。
「居ないから見てみたら何してんのよ……」
後ろからラミッタの声がして振り返るマルクエン。
「私、勇者様とご飯食べるの!!」
「い、いや、ウチのこんな飯なんて勇者様に食べさせられないべ!!」
母親があたふたとしながらそう言い始めた。
「やはり、ご迷惑でしたら……」
そう言って立ち去ろうとするマルクエンの手を娘がぎゅっと掴んだ。
「勇者様行っちゃいや!!!」
「お、おっかぁ、何か村長に言って何かご馳走を!!」
娘の父が外へ出ようとする。
「いえ、お気を使わずに……」
「食べてってー!!!」
娘がどうしても言い出してきかないので、それにマルクエンは負けた。
「そうですね。何かお礼はするので、お食事を頂いても構いませんか?」


