その日の放課後、わたしは学校の正門のところで待ち合わせをしていた。



「芽衣! お待たせ」


「お母さん」



珍しくよそ行きの格好をしたお母さんと合流して、校舎の中に戻る。


今日は夏休み前の三者面談の日だ。



「先生に会うのも久しぶりだから少し緊張するわね」


「変なこと言わないでよ?」


「変なことって何よ、芽衣こそ学校でのこと何も話してくれないから、お母さん不安でいっぱいよ」


「もう、心配しなくても大丈夫だって」



わたしが大雅にもう会わないと宣言した次の日、わたしはお母さんに大雅との話をした。


涙ながらにわたしを抱きしめてくれたお母さんは、"芽衣が決めたことならお母さんは何も言わない。だけど、芽衣は一人じゃない。お母さんもお父さんも、ずっと芽衣の味方よ。それだけは忘れないで"と言ってくれた。


それ以来大雅の話はせず、いつも通りにしてくれている。


お母さんも紫苑も、優しすぎるよ。