"もう会わない"
大雅にそう宣言してから、早いもので一週間が経過していた。
「芽衣」
「紫苑。おはよう」
「おはよ。……今日も?」
「うん。行ってない」
大雅に宣言した通り、わたしはあれから朝大雅を待つことはしなくなった。
それが正解なのかはわからない。だけど、心のどこかで一つ区切りがついたような、踏ん切りがついたような。そんな気がしていた。
「芽衣、本当にいいの?」
本音を言えば、やっぱりわたしは大雅のことが好き。多分この気持ちをなかったことになんてできなくて、この先もわたしは大雅のことだけを想って生きていくのだと思う。
悲しいし、切ない。
だけど、これ以上大雅の人生の邪魔をしないためにわたしが自分で決めたことだ。納得しているし、これでいいんだと思う。
「うん。いいの。今までわたしのわがままを貫き通してたのが間違いだったってわかったから」
これからは、わたし自身のことを考えて生きていかなきゃ。
「芽衣……」
紫苑が心配そうにわたしの手を握ってくれて、わたしも握り返す。
その温かさはわたしの心までもを包み込んでくれているよう。
「紫苑も、今までたくさん迷惑かけちゃってごめんね。ありがとう」
お礼を告げるとふるふると首を横に振った。