「だとしたら、早く誤解を解かないといけないんじゃ……」
「……だけど、今さら俺にそんな資格ねぇよ」
芽衣を傷付けた俺には、そんな資格は無い。
むしろ、もしかしたらこのまま俺のことなんて忘れてしまった方が芽衣のためなのかもしれない。
俺のことなんて気にせずに、芽衣は自分の人生を生きていってもらいたい。
それが、俺が芽衣にできる唯一のことなのではないだろうか。
「……それは、本心?兄ちゃんは、それでいいの?」
「……」
「それでいいのかって聞いてんだよッ!」
「いいわけねぇだろッ!」
「っ」
「いいわけ……ねぇだろ。……でも、こうするしかねぇんだよ。今さらどんな顔して芽衣に会えばいい?芽衣に会って誤解を解いて、それで本当に芽衣は救われるのか?俺のことなんてもう、忘れちまった方が芽衣のためになるん──」
「ふっざけんなよ!?」
再び、龍雅が俺の胸ぐらを掴む。
その手は大きく震えていて、その目には大粒の涙が溜まっていて。
……俺はまた、何か間違っているのだろうか。
もう、何が正解なのかわからない。