「おはよう芽衣」
「あ、おはよう紫苑」
学校に着くとすぐに去年から同じクラスの早川 紫苑が話しかけてきて、それに答えながらホームルームまでの時間を過ごす。
中学からの友達である紫苑は、毎朝必ずわたしより早く登校していて、そしてわたしを見つけては心配そうに話しかけてきてくれる。
黒髪のつやつやしたショートボブが印象的なぱっちり二重で綺麗な子だ。
化粧っ気の無いわたしとは違い、最近メイクにハマり出したらしく垢抜けて可愛くなったと評判の子。
「……今日も大雅のところ行ってきたの?」
「うん。今日もストーカー女呼ばわりされちゃった」
「……そっか」
紫苑はわたしにとって今の学校で数少ない大切な友達であり、それと同時にわたしと大雅の事情を知る貴重な人だ。