"たーが! たーが!"
昔はたいがってうまく言えなくて、俺のことをたーがって呼んでたっけ。
"たいが! めい、おひめさまやるからたいがはおうじさまね!"
童話のお姫様が好きで、保育園のころはよくお姫様ごっこに付き合わされて王子様役をやらされた。
今思うとクサいセリフばっかりだったけど、あの頃は結構俺もノリノリだったっけ。
"たいが! みて! ランドセル! ピンクにしたんだよー! かわいいでしょー!"
同じ小学校に上がり、入学式の日にはランドセルを背負って一緒にくるくる回ったりもした。
それが面白かったのか、お互いの両親がずっと俺たちの写真を撮ってた。
"もー、大雅寝坊しすぎ! 遅刻しちゃうよ! 早く!"
学年が上がりお互いに新しい友達ができても、変わらず毎日待ち合わせして一緒に学校に通った。
俺は朝が苦手でよく寝坊してたけど、あいつは必ず毎朝俺を待ってくれていた。
"ひどい! いじわるな大雅なんてキライ!"
芽衣にちょっかいをかけすぎて、冗談でも嫌いと言われたのがショックで何度も謝って許してもらったこともあった。
"ねぇ、なんでわたしのこと無視するの!?"
高学年になってから友達にからかわれることが増えた。一緒の登下校をやめようとしたこともあったけど、あいつの泣き顔を見て俺は自分の行動を恥じてそれからも一緒に通った。