目をつぶって意識を飛ばしそうになる俺に、龍雅は



「そうだよ! 思い出せ! 逃げんな! もう現実から逃げんな! 芽衣から逃げんなよ!」



何度もそう叫んで俺を現実に引き戻してくれる。


そんな龍雅の目にも涙が光っていて、龍雅も同じようにつらくて苦しい気持ちを抱えながらこの二年間を過ごしてきたのだと痛感した。



「頑張れ……頑張ってくれよ……! 芽衣のために。頑張ってくれ。芽衣が待ってるんだ。ずっと、兄ちゃんのこと待ってるんだよ。だから、思い出してくれ。頼むから。芽衣のために、兄ちゃん自身のために。思い出してくれ……!」



芽衣のために。俺自身のために。


龍雅の思いが、スッと胸に染み込んでくる。


思い出したい。もう逃げない。



俺は、もう過去から逃げたりしない……!



強くそう思ったとき。じわりじわりと、頭痛が遠のいていくような気がした。


そして、再び頭の奥底から少しずつ懐かしい記憶がよみがえってくる。