「……大雅が轢かれそうになったとき、芽衣ちゃんが大雅をかばったのよ」


「……かばった……?」


「そう。靴擦れもして浴衣で動きづらかったはずなのに、大雅の身体を思いっきり押して。そのおかげで大雅は軽傷で済んだ。だけど、代わりに芽衣ちゃんが車に轢かれてしまったの」


「……え……?」


「大雅を助けて、正気に戻ったんでしょうね。足も痛いし動けなかったんだって言ってたわ」



言葉を理解するのがこんなに難しいと思った日が今まであっただろうか。


そう思うくらい、混乱していた。


どういう意味だ?


俺の前方不注意で、事故にあった。そこまではいい。


だけど、それをあいつがかばった?


俺を押して、あいつが俺の代わりに車に轢かれた……?


なんで?どうして?



「うそ、だろ……?」


「嘘じゃねぇよ。芽衣は、兄ちゃんを助けたい一心だったって言ってた。自分が死ぬかもしれないのに、身体が勝手に動いたんだって」


「なんで……そんなこと……」



俺を助けてなんの意味がある?自分が死ぬかもしれないのに?現に、それで怪我をしてるのに?


どうしてそんなことを。