「確か俺は……五組だったか」



中学三年のときのクラスを思い出し、五組のページまでゆっくりめくる。


三年間同じ学校に通っていたはずなのに、こうして振り返ってみると顔と名前が一致する人はそこまで多くない。


一組、二組。懐かしさに目を細めつつそのページを見つめながら、三組のページになったとき。





──ドクンッ……。



「……っ、いっ……!?」



急に頭が割れるように痛くなった。


頭全体がガンガンと鳴っていて、まるでこのページを見てはいけないと言われているようだった。


思わずアルバムを少し手で押して、見えないようにした。


すると、不意に頭の中で声が聞こえてきて息が止まった。



"えー、大雅五組? わたし三組だったよ。大雅とクラス離れちゃったー"



「な、んだ……?」



ズキン、ズキン、と痛む向こう側から聞こえてくる声に耳を澄ませる。



"今年受験生かあ。大雅はどこの高校受けるの?"


"大雅ー、迎えに来たよ。一緒に帰ろ"


"大雅、明日一緒にテスト勉強しない? わたし数学でわからないところあって、教えてほしいの!"


"大雅、模試の結果どうだったー? え、めっちゃ点数良いじゃん!すごい!"


"紫苑と透くんとわたしたちで、絶対同じ高校行こうね!"



……なんだろう。この声は、誰のものだ?


紫苑でもない、奈子でもない。クラスの女子や中学の頃の女子の声でもない。


誰だ。誰なんだ。