「……なぁ、龍雅」


「ん?どうした?」



この二年間、俺からこの話題に触れることはなかった。


だけど、どうしても胸騒ぎが止まらないんだ。


モヤモヤして、胸の中がざわつくんだ。


まるで、"これが最後のチャンスだ"って言われてるみたいに。


今、ちゃんと向き合わないと一生後悔する気がするんだ。


まだ頭は痛い。だけど、これくらいなら我慢できる。



「……俺は、一体何を忘れてるんだ?」



なぁ龍雅。俺はもう逃げないから、全部教えてくれないか?


あの事故のことも、あの女のことも、俺が忘れてる、"全部"を。


俺の言葉に目を見開いた龍雅は、俺の元へゆっくりと歩いてきて。



「今なんて言った?」



聞いたことのないような低い声が、俺の胸を貫く。



「……俺が忘れてることを、教えて欲しいんだ」



そして、



「……ふっざけんな!」



そう叫んで、俺の頬を思い切り殴ってきた。