"五分だけでいいから"
わたしのその言葉に何を思ったのかはわからないけれど、大雅はため息をついてから
「五分以上は引き止められても帰るからなストーカー」
と嫌そうな声で承諾してくれた。
「ありがとう。……じゃあ、あっちに移動してもいいかな」
「あぁ」
さすがに家の前で話すのは人の目もありどうかと思い、近くの公園に場所を移すことに。
大雅も同じように思ったのだろう。何も言わずについてきてくれた。
そこは小さい頃から大雅とよく遊びに来た公園で。
大雅は忘れてしまっているだろうけれど、わたしは今でも目を閉じると幼い頃鬼ごっこをして遊んだことが浮かんでくる。
懐かしいな。ここ、大好きだったな。毎日のように遊んでたよなあ。
そんなところでも淡い記憶が蘇り、なんとも切ない気持ちになった。
その公園の中に入り、大雅に向き合って力強く頭を下げた。