「っ……はぁ、はぁ」
どうやら呼吸を止めていたらしく、苦しくて何度も息を吸った。
聞きたくなかった。知りたくなかった。嘘だと思いたかった。
だけど、彼女なんだ。奈子ちゃんが、大雅の彼女になったんだ。
そっか。やっぱりそうだったんだね。本当だったんだね。
「そうだよね……うん。キモいよね。惨めだよね。迷惑でしかないよね。邪魔だよね」
噂話で聞くのと、当事者から直接"付き合ってる"と言われるのとでは心のダメージは全く違った。
言葉が何度もわたしの心をえぐる。心が痛くてたまらない。
わかっていた。全部奈子ちゃんの言う通りだ。
今まではあれこれ言い訳して大雅の元へ行っていたけれど、彼女ができたならもう諦めるしかないのだろう。
さっきの態度は怖かったけど、大雅が選んだ人だ。きっと根は優しい子なんだと思う。
だから、わたしはもう邪魔者でしかない。
二年も経ったのに、思い出してもらえるどころか完全に嫌われてしまったんだ。
もう、ダメなんだ。
大雅を苦しめているとわかっているのに、自分の気持ちを優先してしまった罰だ。きっとそうなんだ。
そう思わないと、今にも全てが崩れ落ちてしまいそうだった。