「ね、今の話本当?」
「本当本当。わたしも最初信じられなくてびっくりしたけど、奈子ちゃんから直接聞いたらしいよ! 最近二人いつも一緒にいるらしいし!」
「えぇー、そうなのー?」
「でも奈子ちゃんって確かに可愛いけど結構派手じゃない? あんまりいい噂も聞かないし」
「だよね。他校の不良と一緒にいるところも見たことあるって人いるよね。永原くん、もっと清楚な感じの子が好きなのかと思ってたなあ」
「わかる。奈子ちゃんとはタイプ真逆な気がする。永原くんなら引くて数多なのにー。永原くんはなんて言ってるの?」
「それが、何も言ってないんだって。でも否定しないってことはそういうことでしょ?」
「そっかあ……わたし、実は永原くんのことちょっといいなって思ってたの。わたしも勇気出して告白すればチャンスあったってことかなあ」
「えー、そうだったの? 実はわたしも……」
「永原くん、かっこいいもんねぇ。言わないだけで片想いしてる子結構多いらしいよ?」
盛り上がりだした言葉の数々をそれ以上聞いていられなくて、わたしは箸をお弁当箱の上に置いて逃げるように教室を飛び出した。
飛び出したはいいものの、行くところなんて無くて。
廊下の隅でうずくまっていると、紫苑が追いかけてきてくれていた。