それからしばらく良くも悪くも何も変わらず平穏な日々が続いて、二週間が経過したある日。
梅雨入りしたことにより、学校中気が滅入っている今日この頃。
窓からどんよりとした空を見つめつつ、わたしは図書室に向かって歩いていた。
すでに今日の分の授業が終わってから一時間くらい経過していたからか、廊下には人の気配は無い。
今日は昼ごろから体調が悪くなってしまい、保健室で今までずっと眠っていたのだ。
目が覚めると少し身体が軽くなっていたから、紫苑が持ってきてくれたであろうカバンを持って職員室に寄って授業のプリントを受け取り、勉強してから帰ろうと図書室に向かうところだ。
校舎の一階にある図書室は、蔵書数はそこまで多くないもののテスト前には混み合う人気の場所だ。
その理由は、図書室の端に蔵書は持ち込めない代わりに飲食可能な自習スペースが用意されているからだ。
一つずつ席が仕切られていて、隣との距離は近いけれど仕切りで視界が遮られているからイヤホンをしてしまえば完全に自分だけの世界になれる。
そのため集中できるからとテスト直前は取り合いになるほど人気の場所だが、普段はそうでもない。
今日は定期テストが近づいていることもあり、想像してたよりは図書室に人がいた。