「なんか……懐かしかったね」
その言葉に「……うん。そうだね」と頷いて、わたしたちは理科室に向かってまた歩き始めた。
「よくよく考えたら、わたし大雅の顔見るの久しぶりだったのかもしれない。なんか、大人っぽくなった気がする」
「そっかあ……。ごめんねわたしのせいで気遣わせちゃって」
「いや、そういう意味じゃないし芽衣が悪いわけじゃないから大丈夫。ほら、そもそもわたしと大雅って、芽衣の共通の友達って感じで知り合ったじゃん。今はクラスも離れてるから全然大雅と顔合わせることも無いし、元々二人きりで話したこともほとんど無いんだよね。したとしても芽衣の話か透の話しか共通の話題無いと思う」
言われてみれば、確かに中学の頃も二人で会話してるところなんて見たことがなかったかもしれない。
いつもわたしか透くんが間にいて、紫苑と大雅が二人になると自然と会話が止まる。
お互い自分の好きなことを始めるから、仲が悪いわけじゃないけどお互いに興味も無い。そんな感じだった。