クレープ屋さんの前は、たくさんの人で賑わっていた。


買う人の列に並ぶこと十五分ほど。


わたしはいちごチョコレート、紫苑はチョコバナナのクレープを持って近くの広場にあるベンチに腰掛け、



「芽衣、こっち向いて」



紫苑のスマホで二人並んで自撮りする。



「あとで送るね!」


「ありがとう」



他愛無い話をしながらクレープを頬張った。


そのままベンチで透くんのことや大雅のこと、わたしたちのことを話しているうちに少し遅くなってしまい、急いで紫苑に手を降り家に帰る。


家に着いた時には空は綺麗な夕焼けが広がっていて、せっかく急いで帰ってきたのにわたしはしばらくその光景に視線を奪われた。



「……綺麗」



山の方から町に向けて、燃えるように広がっているオレンジ色。


家の前で立ち止まっているわたしをちらりと見てくる人もいたようだけれど、全然気にならない。


カシャリと、スマホを向けてその綺麗な夕焼けをフレームに納めた。