「透、"俺が話しかけることで芽衣が大雅のこと考えちゃってもっと苦しめるんじゃないか"って言ってて。本当はもっとちゃんと励ましたり話聞いたりしたかったのに、できなかったんだって」


「そう、だったんだ」



全然知らなかった透くんの想い。


心配してくれてありがたい気持ちと、申し訳ない気持ちが入り混じる。



「だからさっき、透が芽衣と話しててびっくりしちゃった」


「わたしも。透くんが話しかけてくれると思ってなかったから、びっくりした。けど久しぶりに話せて嬉しかったな」



もしかしたら嫌われてしまったのかなって、ちょっと思っていたこともあったから、安心した。


ホッとしていると、



「少し顔がマシになった」



とまた紫苑がからかってくる。


それに笑い合っていると、紫苑が何か思い出したようにパチンと両手を叩いた。



「よし、じゃあ今日は駅前でちょっと寄り道してから帰ろ!」


「寄り道?」


「駅前においしいクレープ屋さんのキッチンカーがあるんだって! 行ってみよ!」



紫苑、透くん、ありがとう。その言葉を胸にして、紫苑の提案に大きく頷いてから二人で席を立った。