「芽衣、思い出してた?」
「……うん」
「ははっ、ちょっとひどい顔してるよ」
「ひどい顔って……」
思わず頬に手を当てる。
わたしの顔を見るだけで、大雅のことを思い出していたのがわかるなんて。さすがずっと一緒にいるだけのことはある。
「ふふ、ほら眉が八の字になってる。落ち込んでる顔。どうせ透が"いつ思い出すのか"みたいな話したんでしょ。あと思い出話」
「な、なんでわかるの?」
「芽衣のことならなんだってわかるよ。……それに透、あれでも二人のことすごい気にしてるの。あれ以来透はあんまり芽衣に話しかけてこなかったでしょ?」
「うん……」
中学三年に上がってからも、あの事故まではクラスは違ったけれど透くんと会って話すことも多かった。
だけどあの事故以来、お見舞いには来てくれたけれど学校では透くんはほとんどわたしに喋りかけてくることはなく、わたしも大雅のことでそれどころじゃなかった。
それもあって自然と疎遠になっていってしまったのだった。