「うっ……あっ……」
「大雅……!? どうしたの!? どこか痛むの!?」
軽症だと聞いていたし、退院しているのだからもう怪我は治ったのだと思っていた。
でも、頭を抱える大雅を見たらとてもそうとは見えなくて。
一体どうしちゃったんだろう。そう思って肩に手を置こうとした時。
「触んなっ……」
「……っ! ご、めんっ……」
パシンと手を弾かれて、思わず後ずさりした。
初めて大雅に叩かれた手がジンジンしていて痛い。
だけど、それ以上に心が痛くて張り裂けそうだった。
「大雅!」
おばさんが大雅を叱ろうとするけれど、その声から逃げるようにまた頭を抑える大雅。
頭が痛いの?具合悪いの?
じゃあ日を改めたほうがいいかな?
なんて考えていたわたしに、大雅は言ったんだ。
「……つーかお前っ、誰だよっ……」
心底面倒臭そうな声で、心底イヤイヤ聞いたとでも言いたげな声で。
それは確かに大雅の声なのに、大雅の口から発せられたととても信じられなくて瞬間的に固まった。