目が覚めたのは事故から数日後。


そこが病院だと気が付いて、自分が生きていたんだと涙が溢れた。


大雅は軽症で、すでに退院したと聞いていた。


合わせる顔がないとでも思っているのか、わたしのお見舞いにはなかなか来てくれず時間だけがすぎる日々。


思うように身体が動かなかったり、事故に遭う前とは明らかに変わってしまった生活。


このまま中学には復帰できるのか、高校受験はできるのかと絶望したりと入院中もいろいろあったけれど、紫苑や他の友達がお見舞いに来てくれたり、家族が毎日会いに来てくれたから頑張れた。


早く退院して大雅に会いに行きたい。大雅が何か負い目を感じてしまっているなら、それは違うよって言ってあげたい。わたしは元気だよって言うんだ。


それだけを考えて懸命にリハビリに励んだ。


そして事故に遭ってから数ヶ月後。


わたしはようやく退院することができて、真っ先に大雅の家へ向かう。



「大雅。芽衣ちゃんが来てくれたわよ」



おばさんの声に促されるように大雅の部屋に入る。


事故に遭う前と何も変わっていない部屋。その中央にいる大雅の後ろ姿。



「大雅……?」



久しぶり。そう言おうと思っていたわたしは、次の瞬間大雅が頭を押さえて苦しみだしたのを見て駆け寄る。