「めい……? 芽衣……! 芽衣!?」


「た、いが……けがはない?」


「おれっ俺のことなんてどうでもいいんだよ!なんで……」



視界がぼやける中、大雅はどうやら目立った怪我をしていないようで安心した。



「たいが……よかった……」



大雅に怪我がなくて良かった。


それにしても、すごく寒い。痛みもなんだかわからなくなってきたし、何より身体が重いや……。


わたし、このまま死んじゃうのかな。


やだ、大雅、なんで泣いてるの?わたしはだいじょうぶ。だからそんなに泣かないで。


そう言いたいのに、口を開いてもうまく呼吸ができなくて声にならない。


わたしを抱きよせる大雅の腕の中が温かい。


お母さん、おばさん、ごめんね。せっかくの可愛い浴衣、汚れちゃってもう着られないや。


大雅、ごめんね。せっかくこれから花火大会始まるのに。



……一緒に、花火見たかったなあ……。



「芽衣!? 芽衣! 芽衣……! 返事してくれ! 芽衣──」



遠のく意識に身を任せるように、わたしは大雅の腕の中でそのまま意識を失った。