「……絆創膏で」


「ん。じゃあ急いで買ってくるからここで待ってて」



わたしを安心させるように笑って頭を撫でてくれた大雅。


どうやら最初からわたしに選択肢なんてなかったみたいだった。


片手を上げて大雅が向かうのはそれなりに交通量の多い道。


途中で車を停めて花火が上がるのを待つ人たちもいるため、少し見通しが悪い。


どうやら歩行者用の信号は少し離れたところにあるみたいで、コンビニへ行くには不便な位置だったためか大雅はそのまま信号の無い道路を渡ろうとする。



「え!? 大雅、そこ渡るの?」


「あっちの信号待つよりここ渡ったほうが早い」


「ダメでしょ、路駐多くて見づらいし。わたし急いでないからちゃんと向こうの信号渡ってよ」


「いいから、ちょっと待ってろ」



そう言うと大雅は器用に走って向こうの通りに見えるコンビニへと向かって行った。


何事もなくてよかった。そう思ってホッとしつつも、何か胸騒ぎは感じていた。


飛び出してくる子どもにクラクションを鳴らす音が響いていたからだろうか、なんだか胸の辺りがモヤモヤしていて。


でもそれはきっと、慣れていない靴擦れのせいだ。


大雅が戻ってきたらゆっくり歩いてもらおう。


そう思って、大雅が戻ってくるまで近くにあった自動販売機によしかかるようにして待っていた。