「何食べる?」
「んーとね、クレープと……あとたこやき!」
「ん。じゃあ奥の方行くか」
「うん。大雅の食べたいものは?」
「俺もその二つ。あと追加で向こうの店のお好み焼きとフライドポテト食いたい」
「いいね、じゃあ行こ!」
慣れない下駄でいつもと同じスピードで歩いたからか少し足が痛み始めていたけれど、我慢できるくらいだったからそのまま屋台に向かった。
買ったものを頬張りながら花火がよく見えると聞いた高台へ移動する。
それまでは大雅が先導してくれていたけれど、高台の場所を知っているのはわたしだけだから今度はわたしが大雅の手を引いて歩く。
騙し騙し歩いていたけれど、そろそろ足が痛くて歩くのもしんどくなってきた。
高台についたら少しベンチに座らせてもらおう。きっと座ってても花火は綺麗に見えるだろうから。
そう思って歩きながらももう少しで高台への入り口へ続く道が見える頃、
「……おい、足どうした?」
とうとう足のことが大雅にバレてしまって歩みを止めた。
「さっきから歩き方変だなって思ってたけど……ちょっと見せてみろ」
「いいって、大丈夫だよ、ちょっと靴擦れしただけだから」
「大丈夫なわけあるかよ。せっかく可愛くしてんのに」
「……え?」
「……浴衣、似合ってるよ」
足元で照れたように呟いた大雅は、わたしの返事を聞く前に右足の下駄を脱がした。