「こういうの憧れてたの! おばさん本当にありがとう!」
「ふふ、こちらこそ。可愛い娘がいたらこんな感じだったのかなーなんて思うと楽しかったわ。……でも芽衣ちゃんも本当に大人っぽくなったわよね。昔はこーんなに小さかったのに。子どもの成長って早いなあ」
「もう、お母さんもおばさんもその話ばっかり。わたしも大雅ももうすぐ高校生になるんだから!」
おばさんのしみじみとした視線が恥ずかしくて、それから逃れるように意味も無く前髪をいじる。
「ふふっ、そうね。楽しみね。……あ、そろそろ出る時間かしら?」
「あ、本当だ。大雅呼んでくるね」
おばさんにもう一度お礼を告げてから笑顔で手を降り、わたしはリビングを出て階段を登ってすぐ右にある大雅の部屋へ向かう。
せっかく綺麗にしてもらったんだ。大雅に一番に見てもらいたい。
部屋のドアをノックすると、「あーい」と気だるげな声が聞こえてきた。
「大雅? 準備できたよ」
「ん、今行く」
普段なら何も気にせず勝手にドアを開けて部屋の中に入っていくけれど、浴衣が着崩れるのが怖いから今日はやめておく。
その代わりドアの前で大雅が出てくるのをじっと待った。