「なあ」


「ん?」





「……大雅はいつ思い出すんだろうな」



透くんが言いたいことがわかってしまったからだろうか。



「事故のことも。芽衣が命懸けで守ってくれたことも。……芽衣自身のことも」



二年前。わたしと大雅が花火大会に行く途中。


車に轢かれそうになった大雅を、わたしがかばった。


夢中だった。大雅を助けたい一心だった。



「いいんだよ。わたしはあのとき大雅をかばったこと、後悔してないから」



だけど、事故の後大雅に会いに行ったとき。









──大雅はわたしに関すること全てを記憶から消してしまっていた。