「行きたいところあるか?」
「んー……。あ、じゃあ駅前のカフェに行かない? 新作のケーキがおいしいって友達が言ってたの!」
「ん。わかった」
「あとね! 隣町に新しいレジャースポットができたんだって!」
「じゃあそこも調べて行ってみるか」
「うん! あ、あとこの間テレビでやってたとこも行ってみたくて、って、大雅聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」
声色で、大雅も笑っているのがわかる。
多分今この瞬間の会話も、大雅は忘れることなく記憶に留めておいてくれるのだろう。
もちろん、永久に覚えていることなんてできないことはわたしも大雅もわかっている。
だけど、大雅の気持ちが。すごく嬉しいんだ。
「じゃあそのためにも、今日の夏期講習頑張んないとな?」
「ちょっと現実思い出させないでよー、今日はわたしの苦手な数学と政経なんだから」
「ククッ……わかんないとこは教えてやるよ。だからがんばろーぜ」
「もう、ずるいんだから。でもありがと大雅。大好き!」
「んだよ急に。……俺も大好きだよ」
「ふふっ、わたしたちバカップルみたいだね」
「いいだろ、実際そうなんだから」