「今日は晴れてるから花火よく見えそうだね」
「あぁ。今年こそ、だな」
「うん。大雅とまた一緒に行けるなんて、本当夢みたい」
「ははっ、大袈裟だろ」
「そんなことないよ」
今日は、年に一度のあの花火大会の日だ。
去年泣きながらお互いの気持ちを確認したあの日が、今年もやってくる。
「あ、今日の夏期講習終わったらおばさんに着付けしてもらうから、一回着替えてから大雅ん家行くからね」
「あぁ。実は母さんが俺にも浴衣着ろって言って用意してるらしいんだよ」
「そうなの?」
「うん。だから着付け終わったらそのまま見に行こうぜ。空いてるうちにたこ焼きと芋食いたい」
「うん! 楽しみ!」
あの高台はあれからさらに有名になってしまった。大雅は人混みが得意じゃないし、わたしも迷子になったら大雅を見つけられなくなってしまうためおそらくもう行くことはないと思うけれど。
近場でも綺麗に見られるところはたくさんあるし、大雅と二人で見られるならどこでも楽しいだろう。
二人で一緒にいるということが、わたしたちにとっては何よりも大切だから。