そんな学校生活では大雅と紫苑と透くんの助けもあり無事に修学旅行に行くことができたわたしは、クラスは違ったけれど四人で自由時間も一緒に過ごすことができた。
その後も三年生になってからは紫苑の勧めで友達も作ることに成功。
"本当はずっとお話ししてみたかったの!"
"仲良くなりたいなってずっと思ってたの。話しかけてくれてありがとう!"
"わたしとも友達になって!"
今まで後遺症のことがあるから積極的に話しかけたりはできなかったけれど、勇気を出してみれば周りは良い人ばかりで、皆わたしの手をぎゅっと握って改めて自己紹介してくれた。
少しずつではあるけれど、心を許せる相手が増えてさらに楽しい毎日を送っている。
もちろん、後遺症は治らないから大変なこともあるし、声だけじゃ言葉の真意が読み取れなくてもどかしい気持ちになることもある。
だけど皆わたしに話しかけてくる時はまず名乗るようにしてくれたり、何かあれば手で肩を叩いて呼んでくれたり。
会話の途中でも"笑っちゃう"とか、"それは怒るよ"とか、"ちょっと悲しいかな"とか、言葉で感情を教えてくれるため困ることも少ない。
あまり知れ渡っていない脳障害で、わたしもまだ完全に理解しているわけじゃないから人にこの障害の仕組みを説明するのは難しいけれど、皆が頑張って理解しようとしてくれているのがすごく嬉しい。
なによりあの二年間に比べれば、大雅と一緒にいられる今の生活が幸せすぎて、あまり後遺症のことは気にならない。
そんな生活を作り上げてくれている周りの皆には感謝しても仕切れない。