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……一年後。
「芽衣!」
「大雅、おはよう」
「おはよ。行こう」
「うん!」
自然と繋がれた手は、次第にぎゅっと指が絡まる。
お互いの熱ですぐに暑くなるけれど、絶対に離すことはしない。
「あれからちょうど一年か。早いな」
「そうだね。本当早いなあ」
ポニーテールが今日も爽やかな風に揺れた。
大雅の記憶が戻ってから、早いものでちょうど一年が経過していた。
大雅はあの時の言葉通り常に一緒にいてくれて、わたしをすぐ隣から支えてくれている。
結局大雅は嫌々ながらもわたしの勧めでカウンセリングを受けることになり、回数は減ったけど今も定期的に通ってくれている。
大雅の心の奥底に潜んでいるであろう後悔や罪悪感が少しでも薄れてくれると良いなと思っている。
奈子ちゃんにはあの後大雅が何度も話をしたらしく、いつのまにか大雅と奈子ちゃんの噂話は消えていた。
代わりに大雅は常にわたしの隣にいるようになったから、わたしたちの噂があっという間に広まってしまったくらいだ。
それまで一緒にいるどころか会話している姿を見た人なんてほとんどいなかったから、皆相当驚いていたらしい。