「ご、ごめん、今のは忘れて」
そんなこと言うつもりはなかったのに、恥ずかしい。
こんなに優しい大雅とこれからも一緒にいられる奈子ちゃんが、心底羨ましい。
でもそんな気持ちは、そっと胸にしまっておかなければ。また大雅を困らせてしまう。
……わたしも、もっと早くに大雅に告白していたら何かが変わっただろうか。いや、多分、無理だったよね。
そう思っていると、
「……奈子とは付き合ってもいないんだ。ただあいつが勝手に彼女気取りしてるだけ」
「……え?」
唐突な言葉に、目を丸くした。
「な、に言ってんの? だって奈子ちゃん、大雅と付き合い始めたって……」
「やっぱり……奈子のやつ……。確かにあいつに告られたけど、俺は断ったんだ。ただそれでも諦めないとかなんとか言われて勝手にすればとは言ったけど……」
「うそ……」
信じられなくて、息を呑む。
「本当だよ。……でもまさか奈子がそんな嘘言いふらすなんて思ってなかった。俺がもっとはっきり断れば良かった」
「大雅……」
奈子ちゃんは多分、本気で大雅のことが好きで。
もしかしたら、今はまだ好きじゃなくても、近くにいればいつかは。そう思って大雅のそばにいたのだろうか。
好きだから、大雅を繋ぎ止めておきたかったのかもしれない。
わたしと、同じだったのかもしれない。
じっと大雅を見つめると、大雅はふぅ、と大きく息を吐いてから口を開いた。