「なんとなくいつも一緒に帰ってるからさ、今日も俺のこと少しは待っててくれてもいいのに大雅のやつ、"そんなの待てるか"って言ってとっとと帰りやがった。あいつ俺に対して薄情すぎない?」
「ふふっ、大雅らしい」
「あいつ、昔から芽衣のことならいくらでも待つくせに、俺も含めて他の奴のことは微塵も待ってくれないんだよな」
それを聞いて、まだ大雅がわたしの名前を呼んでくれていたころは確かにそうだったなあなんて思いを馳せる。
「……大雅、わたしのこと何か言ってた?」
呟くように聞いた声は、自分でも驚くほどに小さくて震えていた。
一瞬にして空気感が変わったような気がして、ごくりと唾を飲み込む。
「……多分知ってるとは思うけど、"ストーカー女"だとか、そんなところ」
「そっか」
言いにくそうな声色に申し訳なさを感じて口を閉ざすわたしに、透くんは机をじっと見つめながら言葉をこぼした。